超人オコエに虎スカウト「新庄クラス」

 「全国高校野球・3回戦、関東第一1-0中京大中京」(16日、甲子園)

 プロ注目の関東第一(東東京)・オコエ瑠偉外野手(3年)がスーパープレーで大観衆を魅了した。中京大中京(愛知)戦の初回2死満塁のピンチで、左中間への大飛球を激走キャッチ。抜ければ相手に一挙3点を与える一打を、鮮やかに防いだ。その後は緊迫した投手戦となり、九回に長嶋亮磨外野手(3年)が劇的なサヨナラアーチ。5年ぶりの8強進出を決めた。

 快音を響かせた打球を誰もが追った。その行方を4万7000人の大観衆が追う。左中間を破る-と思った瞬間、その視界に猛烈なスピードで飛び込んできたオコエ。大きく美しいストライドで緑の芝生を疾る。長い左腕を懸命に伸ばすと、吸い付くように白球はグラブへ収まった。

 鳥肌が立つようなスーパープレー。球場全体から地鳴りのような大歓声が沸き起こった。聖地を騒然とさせたのは一回、2死満塁の場面。中京大中京の佐藤が左中間へ痛烈な一打を放った。

 その時、5メートルほど中堅の定位置より前進守備を敷いていたオコエは「捕れるか分からなかった」と振り返る。だが懸命に追い、「ギリギリ行ける。捕った瞬間に捕れたと思いました」。抜ければ一気に3点を失うピンチを防ぎ、ベンチへ戻ると、一塁側のファンが総立ちで出迎えてくれた。「お客さんの反応が最高に気持ちよかった」と全身を震わせた。

 このプレーを可能にしたのが超人的な千里眼と動物的勘-。「守ってて捕手のマスク越しの表情が分かる」。もちろん常人ならそこまで判別不能。「日本は視力2・0までしか測ってくれないので」と規格外の眼力がインパクトの瞬間を鮮明に捉えられるからこそ、誰よりも早いスタートが切れる。

 さらに打球が飛ぶ直前、オコエは2歩ほど左中間寄りに動いた。「捕手の配球を見てこっちに飛ぶと思った」。これには阪神・平塚スカウトも「プロでも捕れるか分からない。現時点で新庄クラス。守備はトップレベル」とうなった。

 このビッグプレーが緊迫した投手戦を演出し、劇的なサヨナラ劇を呼んだ。「あいつは君津出身なんで何かを持ってるんスよ!」と根拠なくサヨナラ本塁打の長嶋をたたえたオコエ。魅了してやまない“オコエ劇場”のクライマックスはこれからだ。

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