盛岡大付・松本の夏9失点KOで終わる
「全国高校野球・3回戦、敦賀気比16‐1盛岡大付」(20日、甲子園)
3回戦4試合が行われ、盛岡大付は敦賀気比に大敗し、初の準々決勝進出を逃した。今秋ドラフト上位候補の最速150キロ右腕・松本裕樹投手(3年)は、三回途中9失点で降板。右肘痛を押しての先発も実らなかった。敦賀気比は3戦連続となる2桁得点で、97年以来17年ぶりの8強入り。八戸学院光星は、星稜を延長戦の末破った。三重は城北を下して46年ぶりに準々決勝へ進んだ。
本来の姿を見せることなく、盛岡大付・松本が聖地を去った。「初回から痛みがあった。腕が振れなかった」。涙もなく、感情を押し殺して言葉をつなぐさまが痛々しかった。
直球の多くが120キロ台。16日の東海大相模戦ではさえた制球も乱れた。ほとんど表情を変えない男が、苦しげな顔で腕をブラブラと振った。同点の三回に6安打を集中され、9点目を失ったところでようやく降板を告げられて右翼へ。高校通算54本塁打の打撃でも、無安打に終わった。
岩手大会決勝で痛みが出た。松本は「投げない選択肢もあったかもしれないが、ここまで来て譲るというのはなかった」と言い切った。11日の開会式後には故郷・神奈川で治療。「無理はしないで」と話す母・末江さん(41)に「どこまでが無理なの?」と聞き返した。「先発でいきたいという彼の思いもあった。代え時を誤ってしまった」と関口清治監督(37)。責任感が体を突き動かしてきたが、それも限界だった。
気力で戦った2試合。「状態がよければ…と、悔しいのはある」と本音が漏れた。進路については「プロ野球の世界に入りたいのはある」と明かした。土は持ち帰らなかった。いつかまた、必ずこのマウンドに戻る。