競馬新聞「馬サブロー」が誇るＰＯＧマスター、木村拓人（美浦）と塩手智彦（栗東）がお送りするＰＯＧ情報。東西のトレセンでつかんだ情報をお伝えします。

　いやいやいやいや。相変わらずの…いや例年以上でしたね。毎年のように最高記録を樹立していくモンスターセール・セレクトセールが行われました。とんでもなかったですね。昨年の２８９億円を４０億円近く上回る３２７億円という売り上げを記録し、落札額が億を超えたのはなんと８６頭！！！もうほんとにね…とんでもないです。１億を超えると会場がどよめき、拍手が湧き起こっていたあの時代はどこへやら。１億という額を回収するためには最低でもオープンレベルでの活躍が必要になってくるのですが、もうそんなことは関係ないのでしょうね。ここで購買される方は夢や名誉を買っている。そんな感じがします。一般市民の感覚で物事を考えてはいけないのです。

　最高額となったのは当歳セッションで上場されたミッドナイトビズー２５（牡、父イクイノックス）です。その価格はなんと５億８０００万円！歴代３位タイの価格でした。母が米ＧⅠを５勝している名牝ということで、セリの前から多くの注目を集めていましたが、想像通りの盛り上がりを見せていました。個人的には６億までいくんじゃないかと思っていましたが、歴代最高額とはならず。ですが馬は本当に素晴らしかったですね。この血統でこの馬が生まれたら、それは高くなりますねって感じです。パドックリンクで歩いていた映像は目に焼きつけましたので、競馬場にどんな姿を見せてくれるのか今から楽しみで仕方ありません。そして父イクイノックスは当歳セリで猛威を振るっていました。３億超えが３頭いましたね。父キタサンブラックとは少し違ったタイプの子が出ている印象で、父よりも見た目のバランスが取れているように感じました。父は脚長で幅が薄い馬が多かったですからね。そういう意味では誰もがいい馬だと感じる形なんだろうと思います。まだ１歳になってどういう成長曲線を描いていくか、楽しみにしたいと思います。

　そのキタサンブラックは産駒の勢いそのままに高値がついてましたね。少し形に特徴がありますが、好走パターンもだんだんと分かってきたこともあるのかなと思います。少しスタートダッシュに手間取ったコントレイルも高い人気を維持していました。昨年までと比べると値段のメリハリは利いていたように思いますが、馬を見るとやはりいい馬が多いんですよね。これからの２歳戦にも期待したいところです。

　あと個人的に気になったのはウエストオーバー。イクイノックスが勝ったドバイシーマＣで２着だった馬ですが、こちらも当歳が初年度産駒。２頭の上場でどちらも高値がついていました。億超えとまではいきませんでしたが、注目度を考えればかなり評価が高かったですし、馬体は伸びやかでいかにも欧州の中距離馬という印象。ここから素軽さが増していけばクラシックディスタンスで楽しみな馬に成長しそう。注目ですね。

　さて先週の新馬戦の振り返りですが、１２日の福島芝１２００ｍはミスバレンシア（牝、武井）が勝利。今村騎手が見事な逃げ切り勝ちを収めましたね。次走は未定ですが、血統的に短めの距離で活躍が期待できそうですね。

　１２日の福島ダート１１５０ｍはショーリバース（牡、鈴木伸）が勝利。こちらも逃げ切りでしたね。こちらも次走は未定。

　１３日の福島芝１８００ｍはルージュボヤージュ（牝、国枝）が強い勝ち方を見せてくれましたね。これでコントレイル産駒は初勝利！セレクトセールの前に父に勝利をプレゼントすることができてホッとひと安心だったと思います。次走は新潟２歳Ｓ（８月２４日・新潟、芝１６００ｍ）かアルテミスＳ（１０月２５日・東京、芝１６００ｍ）を検討しているとのこと。先々まで楽しみなレース内容でしたし、今後の成長も楽しみですね。

　１３日の函館芝１２００ｍはハイヤーマーク（牡、手塚久）が後続に２馬身半差をつけての完勝でした。次走はダリア賞（８月９日・新潟、芝１４００ｍ）を予定しているとのこと。

　１２日の福島芝１８００ｍの未勝利戦を勝ったブラックハヤテ（牡、蛯名利）はコスモス賞（８月１６日・札幌、芝１８００ｍ）を予定も、少しレースの疲れもあることから、様子を見ながら出否を決定するとのことです。（馬サブロー美浦支局・木村）