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【京都大賞典】“プボくん”ことディープボンド 悲願達成へ秋の始動戦 谷口助手が“愛馬”にかける思いとは

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 「京都大賞典・G2」(6日、京都)

 この馬で文章を書くのは何度目だろうか。7歳牡馬ディープボンド。G1の高い壁に跳ね返されながらも、幾度も懸命に挑み続ける姿に心を打たれるファンも多いが、記者もその一人。そんな“プボくん”は京都大賞典で秋の始動戦を迎える。

 9月上旬に栗東トレセンへ帰厩。ここまで順調に乗り込まれてきた。栗東CWで行われた26日の1週前追い切りは先導役の都合で6F86秒3。全体時計は平凡だったが、ラスト1Fは21年の有馬記念2着時の最終追いでマークした11秒2を上回る、自己最速の11秒0を刻んだ。谷口助手は「ためればこんな脚を使えるのか、と。活気があってダイナミックなフォームで追えて、(幸)ジョッキーも“いい動きでした”と言っていて、いいと思います」と、納得の表情を浮かべていた。

 同期にコントレイルやデアリングタクトがいる7歳馬。ベテランの域に到達した今もなお、厩舎にはボンドを応援する手紙やお守りがたくさん届くという。「“受験生ですが、勇気をもらいました”や“仕事で悩んでいたけど元気をもらいました”“人生が変わりました”などのメッセージをいただきました。今後、こんな馬に巡り合うことはないんだろうなと思いながら、携わっています。こんな馬、いないでしょう」。常に最前線で戦い続ける“愛馬”に感謝の思いは尽きない。

 谷口助手にとって、忘れられない瞬間がある。昨年のジャパンC。本馬場入場時のこと。「ボンドの時、すごい歓声で。後ろからブワーッと来た感じ。すごく感動したことを鮮明に覚えています」。世界ナンバーワンホース・イクイノックスや3冠牝馬リバティアイランドといった希代のスーパーホースにも負けない声援を背に受けた。トレセン入りして約四半世紀。他に代えがたい経験だったという。

 ボンドの人気の一つに『G1未勝利馬で獲得賞金トップ』という点があるかもしれない。とはいえ、G1馬になってほしいという気持ちはファンも記者も、そして日々の調教にまたがる谷口助手も同じだ。「何とか(G1を)勝ちたいです」。それだけに、この始動戦は大事な一戦だ。

 「今、状態面は去年の天皇賞・春(2着)と比べてもいいと思います。暑さに弱いから心配だったんですが、大丈夫でした。年を取った馬は夏に弱いとどんどん悪くなっていってしまうので。それを考えたら、(1週前でラスト1F)11秒0が出ましたからいいと思います」。今年の酷暑も放牧先でうまく乗り越え、コンディションに不安はない。

 「ボンドの競馬ができれば100点かなと思います。僕も、一ファンとして応援する感じですね」と同助手。取材すればするほど、皆から愛されていることが伝わってくる。いつも一生懸命に走り切る“プボくん”の初悲願に向けて、まずは秋初戦に熱視線を送りたい。(デイリースポーツ・山本裕貴)

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