「勝撃」を許さない初夏へ
【5月12日】
ここ、明治神宮野球場で衝撃があった。先週末のことだ。東京六大学野球で東大が法大に連勝し、9年ぶりの勝ち点を挙げた。春に限れば29年ぶりの勝ち点だというから春の珍事…
と書けば、東大関係者から怒られるかもしれない。というのも、勝ち点の空気がなくはなかったというのが大方の見方だったから。頭脳派集団は開幕戦となる明大との1回戦で接戦を演じた。明大といえば昨秋の覇者。敗れはしたが終盤まで健闘し、界隈では「ひと味違う」といわれていたのだ。
東大といえば、リーグワースト記録となる「94連敗」を喫した時期もあった。しかし、今年は「覆してやろう」と、チームスローガンを「勝撃」にして臨んでいる。東大野球部のホームページを見れば、そのコンセプトは「快進撃を見せることで、世間に衝撃(勝撃)を与えよう」-だそうだ。
さて、こちらプロ野球の下馬評を覆し、ファンに「勝撃」を与えているのが神宮の主である。度々書くが、池山スワローズが春の好敵手になろうとは失礼ながら予想できなかった。
「イケヤマジック」の快進撃を止めるべく神宮の第1ラウンドは、それこそ「衝撃」満開のゲームになった。
阪神のスタメンオーダーを見てまず驚いたし、高寺望夢の先頭打者弾にもスタメン復帰で4番に座った大山悠輔の快音にも胸を打たれた。嶋村麟士朗のプロ初本塁打、2番森下翔太のグランドスラム、そして、ヤクルトJ・オスナの登板にも衝撃をうけた。
終わってみれば10-0。スコアだけ見れば大味に映るけれど、首位に返り咲いたこの試合で特筆したいのは、その分岐点になった二つのプレーだ。
一つは三回の守り。1死一塁からD・サンタナの右中間への飛球をダイビングで好捕した高寺のビッグプレー、この守備は高度だった。右打者の逃げてゆく打球によく追いついたし、よく捕った。抜けていれば快足の一塁走者丸山和郁に生還を許しかねなかっただけに、序盤戦の西勇輝を助けるインパクト抜群の仕事だった。
もう一つは、七回の小幡竜平のヒットである。2死無走者から廣澤優の155キロをセンターへはじいた一打は、初回の大山以来6イニングぶりのHランプになった。追い込まれながら放ったことに価値があったし、これが嶋村のアーチの呼び水となったことで、形勢を一気に三塁側へ傾けた。値千金の一本だったように思う。
衝撃といえば、この日発表された電撃トレードもそうである。DeNA正捕手の山本祐大とソフトバンクの尾形崇斗、井上朋也が1対2で…。DeNAのエース東克樹にとって山本はかつて「最優秀バッテリー賞」をともに受賞した「愛妻」だ。「そういう世界」といわれればそれまでだけど、個人的な感想を書けば、ドライやなぁ…。
さて、西勇輝は、トレードでやって来た「愛妻」伏見寅威とともに本来あるべき場所に帰ってきた。が、開幕前には本人も想像できなかった衝撃…かもしれない。さあ、燕の「勝撃」を許さない初夏へ向かおう。=敬称略=
