あいみょんが悔やんだ「攻め」

 【4月7日】

 あいみょんに聞いてみた。甲子園開幕戦の始球式を終えたあとだ。「試合を見て帰ります」というので、幼い頃から数えて「何度目の観戦」になるのか?記憶の限りでいいので…。

 「えっ…。分からん…。どれくらいですかね。100(回)いってないくらいかな。私、ずっと西宮なので。お父さんはもっと、もっと…です」

 西宮市出身、それも、甲子園界隈が庭だった歌姫にとって「タイガース」はずっと生活圏にあった。物心ついた頃から父に連れられ黄色いメガホンを振っていたのだろう。この夜は22年の弾き語りライブ以来の聖地凱旋。「人生で一番緊張した」そうだけど、そんな始球式に点数をつけるとすれば…。

 「72点」。ストライクだったら100点だった?そう聞かれた彼女は…

 「左バッターにインコースを攻められてたら上出来だったと思います!」

 渾身の1球はヤクルト長岡秀樹へ山なり、ノーバンの外角球。懐を突き切れなかったことを悔やんでいた(?)

 あいみょんへ注がれた大歓声で幕を開けた首位攻防戦は、その序盤、ヤクルト先発の小川泰弘にてこずった。とりわけ厄介だったのは、それこそ左バッターへのインコース攻め。ヤクルトバッテリーが「あいみょんの反省」を活かすかのようにズバズバきた。インコースを見せ球にしてアウトコースを勝負球にするかと思えば、インコースも勝負球にする。これは絞りづらい。

 そう思って見ていると、打撃好調の木浪聖也が二回にインコースを攻められ三振を喫した。そもそも小川はタイミングが取りづらい投手だ。変幻自在に足の上げ方をくねくね。この種の投手を攻める上で好機になるのは変則が変則じゃなくなるとき。モーションが一定になるクイック…走者を出してから虎打線がどう対応するか楽しみに見ていたら、大山悠輔がそこを突いた。

 1点を追う四回。2死無走者から佐藤輝が内野安打で出塁した後、大山がクイックモーションになった小川の2球目を捉えた。さて、ここからは「宮っ子の念力」が効いた…と書かせてもらう。あいみょんが猛虎で応援している選手は「同い年の選手」だという。彼女と同じ31歳といえば、そうだ。

 31歳の大山が作った2死一、二塁の好機で31歳の木浪聖也が放った打球は二塁へ。これがイレギュラーバウンドとなり、敵失を誘うラッキーな「同点打」になった。この回も木浪が同じように懐を攻められ追い込まれたが、今の木浪はもっている。五回の打点もそうだけど、好調に「プラスα」が重なると僕は見る。とはいえ、今後も小川と対戦する。攻められ方への対応その考え方を試合後、木浪に聞いてみた。

 「どこを攻められるかというのは、自分の中でも大体分かっているつもりですけど、意識しすぎると相手の思うツボなので。練習の中でどこでも対応できる準備をするだけかな、と…」

 「ラッキー7」のジェット風船が再開された夜に相手が4失策。「勝てばお父さんの機嫌もいい」。そんなふうに語っていたあいみょんが「甲子園の女神」になった。=敬称略=

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