藤川球児が会いたい友

 【1月31日】

 藤川球児と筆者には共通の友人がいる。トシは球児の10コ上。兄弟分というよりは親友だろうか。じゃ、僕にとってその彼は何者か。トモダチ?ナカマ?いや、ちょっと違うかも。

 「風さんは俺の記者人生で唯一の、いや人生でただひとりの盟友だから」

 その友人から真顔で言われたことがある。昨年末のことだ。仲間4人で開いた原口文仁の慰労会でそんなふうに…。噓でもうれしかった。シラフだけど、こみあげてしまった。

 僕が球児に声を掛けたのはその翌日のこと。新入団の会見が行われた12・15。大阪の高級ホテルで呼びとめた。

 カントク…

 「あぁ、風さん」

 きのう一緒にメシ食いましたよ。

 「僕もこの前、会いに行ってきました」

 日本シリーズも何もかも戦いが終わったあと、球児は神戸市内の某所まで足を運んだ。無二の友に会って話をしたい…そう思い、赴いたようだ。

 阪神の優勝監督がわざわざ会いに?

 そんな幸せ者がいるか…。

 こっちは一生待っても会いに来てくれないから沖縄まで取材に来た。おびただしいメディアの一人として…。

 さあ、いよいよ始まる。球児はどんな戦意で2年目のキャンプを迎えるのか。恩納村のチーム宿でミーティングに臨んだ大晦日…残念ながら僕には虎将の視線の先を読めなかった。

 はよ沖縄来い。いつものアグー鍋…あの出汁すするぞ。それでもってあんたの親友の心を読み解いてくれ-。

 思えば、幸せ者の大腸に進行癌が見つかったのは藤川阪神がVロードへ駆け出した昨春のことだ。「余命宣告されて…」。そう聞いた。治癒の道を探る中で何度となく連絡を取り合った。

 「いま、山梨にいます」

 半端なく効能があるというラジウムの源泉を紹介してもらったそうだ。

 「2回浸かれないほどきつい」

 こちらの呼吸も浅くなる。横になるのも過酷な夜があるというのだから。

 その友人とは…。書かなくとも当欄の読者なら分かる。元デイリースポーツの書き屋。今も現役で猛虎愛を綴っている。その友人が年始のコラムでこんなふうに書いてくれた。 

 「風さんと二人で、いろんなものと戦った」「風さんとは背中合わせで互いの死角を補い合い、命懸けで迫る敵と撃ち合った感覚がある」-。

 なんちゅう筆だ。でも分かる。人やモノ、その好き嫌いの感性はちょくちょく互いの琴線に触れる。だから何年たっても共に戦える。退職したら一緒に許せない敵を何人か撃ちにいく。そんな物騒な話をしたこともある。

 「風さん、オレ亡き後の球児をどうか宜しくお願いします」

 友人…いや、唯一の盟友がアホなことを言った。任せとけ…。そう返すとでも思ったか。藤川球児は友にしか心開かんこと知ってるやろ。今度の抗がん剤で髪抜けるからいうて先んじて丸めたその頭、ウチナーへ見せに来い。

 今度は球児が待ってるから。

 な。まっちゃん。   =敬称略=

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