打てばいいポジションとは?
【8月22日】
よくやった熊谷敬宥!ヒーローインタビューで大歓声を浴びる背番号4へファンと一緒に声を掛けたくなった。と同時にインタビュアーに言いたくなった。守備のことも聞いてあげて…。
執念の決勝打は素晴らしかった。格好なんてどうでもいい。とにかく、どんな形でも1点を!そんな打撃に天晴れである。それと、この粘り勝ちを振り返って、忘れてはならないのが同点で迎えた九回の守りだ。
桐敷拓馬が内山壮真にヒットを浴び、1死一塁で打席にJ・オスナ。フルカウントからスタートを切った内山を坂本誠志郎が刺したプレーは一旦はセーフの判定になったが、リプレー検証で覆って三振ゲッツー。桐敷が「助かりました」と話したように、これはデカかった。走者と接触しながら巧くタッチした熊谷、そして坂本の送球ももちろん称えられるべきだ。
「巧い」といえば、いつも唸ってしまうのは中野拓夢の守備である。二回裏、ヤクルト古賀優大の放った一、二塁間を破ろうかという打球に追いついた中野は涼しい顔でHランプを消して見せた。高橋遥人が村上宗隆に長打を浴びて背負った最初のピンチだったし、この夜スタメンマスクの古賀はバットも好調だから調子に乗らせたくない。そういう意味でもビッグプレーだった。中野は前カード中日戦で度々スーパープレーを披露し、投手を救った。今シーズンの彼はバットで首位打者を争い、走力でも小技でも頼もしいスーパーマン。非の打ちどころがない。
二遊間は守備重視。一、三塁と外野は打てる選手を…。よくそんなふうに言われる。分かりやすくいえば、プロ野球で「4番ショート」にはなかなかお目にかかれない。なくはないのだけど、概して4番は…
ホームランが台無しの拙守になった。ヤクルトの4番打者である。
四回に先制弾を放った村上が五回に拙守を連発した。先頭高寺望夢が三塁線の二塁打で出塁した後である。あれもヤクルトベンチからすれば「とめてくれ」という打球だったか。左打者特有のきれていく打球だから仕方ないと僕の目には映ったが、しかし、この直後のプレーはいただけない。無死二塁から坂本誠志郎が三塁ゴロを放つと、二塁走者の高寺が飛び出してしまった。村上は捕球後、二塁走者を目で殺すそぶりで一塁へ送球。いや、二塁!
さらに、続く熊谷敬宥の打球を村上がトンネルして同点となると、一塁ベンチでうなだれる高津臣吾の顔つきは「何してんねん…」のそれになった。
最下位ヤクルトの借金は20あまり。この窮地で見つけたい光明は?
初回に近本光司のスチールを刺した古賀はいい捕手。盗塁阻止率は坂本誠志郎、山本祐大、甲斐拓也を凌いでセ・リーグナンバーワンである。
二遊間は守備。一、三塁と外野は打てる選手を…。じゃ、捕手は?
監督時代の金本知憲はドラフトで坂本誠志郎を指名した際「プロで出場できるのは打てる捕手。刺せる捕手」と語っていた。九回のここぞで刺した坂本に痺れた夜だ。=敬称略=
