「1番大山悠輔」の記憶

 【7月21日】

 フレッシュオールスターを観た。前夜のことだ。当欄で小幡竜平の話を書いてからじっくりと。実は毎年楽しみにしている。この若手、5年後どんなスタイルでこの世界にいるのだろう。

 そんな視点で見れば、例えば今朝丸裕喜や百崎蒼生のそれも想像が膨らんでニヤついてしまうのだ。

 そこでちょっと懐かしいオーダーを回想してみようと思う。

 ②桒原樹(広島)=現役引退

 ③宗佑磨(オリ)=623本

 ④A・メヒア(広島)=退団

 ⑤栗原陵矢(ソフト)=536本

 ⑥杉本裕太郎(オリ)=484本

 ⑦石岡諒太(中日)=現役引退

 ⑧近藤弘基(中日)=現役引退

 ⑨曽根海成(ソフト)=広島退団

 これは8年前…17年のフレッシュオールスター、ウエスタン・リーグ選抜のスタメンと通算安打数(7月20日時点)である。所属球団は当時。表記の○数字は打順だけど、1番打者が抜けている。もちろん、意図的に省いてみた。①には誰が入るのか。この前振りで分からない虎党はいないと思う。

 そう、あの年のウエスタン選抜の1番打者は阪神のドラ1ルーキー大山悠輔が担ったのだ。

 その悠輔にひとまず「おめでとう」を書く日である。

 祝・通算1000安打。

 高橋由伸に憧れた幼少時代、祖父に連れられよく来場した東京ドームで節目の一打を刻んだことは、野球の神様からのご褒美なのかもしれない。

 それはそうと、8年前のファーム祭典のメンツを見れば、あらためて厳しい世界だと感じる。あのときスタメンに名を連ねたスター候補の半数以上がもうこの世界にいない。だから、なおさら思う。大山が大黒柱としてバットを振っている、この当たり前の風景を噛みしめなければ、と。

 ちなみに、あの年のイースタン選抜のセ・リーグ打者を振り返れば…

 1番打者にこの日伊原陵人からサヨナラ打を放った吉川尚輝がいた。さらに5番にはDeNA佐野恵太、6番に当時巨人の山本泰寛、8番にDeNAだった細川成也。いい顔ぶれが揃う。参考までに彼らの現在地にも触れておけば…(こちらも7月20日時点) 

 吉川の通算安打は775本。佐野のそれは926本。山本泰は239本。中日の主軸となった細川は369本。安打の数が全てではないけれど、我らが背番号3を誇らしく思う。

 誇らしいといえば、この日のスコアブックで大山の欄に記した「H以外の打席」だ。初回と七回の遊ゴロ。ともに三遊間への打球に全力で一塁へ駆け抜けたが、間一髪及ばなかった。際どい打球だから全力は当然といえばそうだが、キャリアでこれを貫いてきたことが誇らしいのだ。3打席目の本塁打が1001本目の華やかな「H」になったわけだけど、これまで大山が愚直に全力疾走した通算の「走」数はもちろん「記録」に残らない。だから、なおさら「記憶」に残る大山の代名詞をメモリアルに添えたことを忘れずに記しておきたい。=敬称略=

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