ライラライラライ

 【10月15日】

 深夜ラジオで大阪のおっちゃん谷村新司の下ネタを聴くのが少年時代の僕にとって刺激的だった。大学時代は、格好ええシンガーソングライター谷村の『チャンピオン』をカラオケで唱いまくった。

 この業界に入り、若い頃はよく音楽界も取材してきた中で縁の無かった大物だけど、勝手に「お世話になった感」が半端ない。

 74歳で帰らぬ人に…そんなニュースを耳にすれば、ショックだ。

 立ち上がれもう一度その足で

 立ち上がれ命の炎を燃やせ

 ライ ラ ライ ラ ライ ラ

ライ…『チャンピオン』を口ずさみながら、これを書いている。

 楽曲の主人公であるチャンピオンのモデルはカシアス内藤という関西出身のボクサーだけど、歌詞を味わいながらこの日の球界を取材すれば、関西の球団にも「もう一度その足で立ち上がれ」とエールを送りたいファイターがいる。

 八回に湯浅京己がマウンドに上がった。宮崎のフェニックス・リーグ(千葉ロッテ戦)である。

 先頭打者の出塁を許したが、2人目を遊ゴロ併殺に仕留めた。理想とはまだまだ誤差があるのか、そのあと、少し首を捻っているように見えた。そんなことを想像しながら彼を見ていると、3人目の打者に三塁線を破られた。後続を断ち、1イニングを無失点に抑えたが、湯浅はこの登板にどんな感触を得ただろうか。日本代表右腕の「全開」は皆が知る。だから、実戦の舞台がファームであれば、本領で腕を振るなら抑えて当たり前という見方をされる。彼にとって秋の宮崎が実りの1ページになれば言うことはないし、チャンピオンメンバーに本来なくてはならないワンピースだと誰もが思う。

 そしてもう一人、個人的に、これから立ち上がってもらいたい若き虎がいる。同じく宮崎で湯浅の前、七回の1イニングを抑えた岩田将貴である。20年の育成ドラフト1位で入団した変則左腕は、大学時代にトミー・ジョン手術を経験した苦労人。昨夏に支配下登録選手となり、3年目の今季を勝負の年にしたかったに違いない。今春のキャンプでは、球団の駐米スカウトで同じ変則左腕のJ・ウィリアムスから手ほどきを受けるなど、指揮官の熱視線も浴びたが、今季1軍での登板はなかった。

 変則左腕の渡辺雄大が先頃構想外となり、岩田への期待値はこれまでより高まる。22年はファームで41試合4勝1敗、防御率1点台の成績を残しながら、今季は44試合、2勝3敗で防御率は4点台。良いときの彼を見た者なら分かると思うが、潜在性はこんなものじゃない。1軍のブルペンで戦力となるためには、当然右打者も抑えなければならない。しかし、当欄の主観を書けば、いきなり二兎を追えばストロングが薄まる。まず「左打者キラー」に徹すればストロングは必ず光ると感じる。勝手な物書きを許してほしいが、岩田が立ち上がるためには、左打者なら無双で封じる力と自信。対左のチャンピオンになれれば…。

 ライ ラ ライと口ずさみながらそんなことを思う。=敬称略=

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