中心にいるべき大山

 【10月4日】

 19本打て!そう思っていたので僕個人的には満足のフィニッシュである。いや、これは勝手なハナシで、大山悠輔本人は満足なんてしていないと思う。きっと、もっと打ちたかっただろうし…。

 最終戦で4番が高橋奎二から左翼席へ放り込んだ先制2ランである。これで20号へ王手。ファンは「もう1本!」と期待したはずだけど、贅沢(?)は言わない。

 なぜ「19本」かといえば…

 03年の金本知憲を回想したからである。あのシーズン、金本は3番打者を任され、打率・289、19本塁打、77打点、93四球、出塁率・399。星野阪神の兄貴分として18年ぶり優勝の立役者となったことは皆さんの知るところだ。

 今季の大山は、打率・288、19本塁打、78打点、99四球、出塁率・403。左打者と右打者、3番と4番、タイプも違うけれど、「繋ぎ」を意識した主砲という意味では、今シーズン半ばを過ぎたあたりから、僕は03年の金本と今年の大山の数字を比べるようになっていた。阪神ファンが長らく待ったVシーズンのクリーンアップとして、金本と大山の数字を重ね合わせてみればどうか。勝手な見方と断るが、おもしろい。

 さて、個人記録の決着がついたレギュラーシーズンを終え、いよいよ、勝負の秋を迎える。この夜DeNAが巨人に敗れたことで、広島の2位が決定。セ・リーグのCSファーストステージがマツダスタジアムで開催されることが決まった。カープ監督の新井貴浩は「必ず甲子園へ行く」と語っていたが、客席が真っ赤に染まるホームアドバンテージを活かせるか。

 あらためて、新井に阪神の4番大山について聞いてみた。

 「大山のような選手が4番を打つということが、チームにとってすごく大事だと思っています。今年は4番を一度も外れなかったわけですよね。彼のような選手が中心にいるチームは強い。なぜかといえば、打った、打たないというのは、もちろんあるんですけど、彼はどんなときでも全力疾走するでしょ。その姿というものがチームをグッと一つにしていると思うんです。年齢的にも彼が中堅になって、歳下の選手が多くなってきている中で、大山の姿を見て、俺たちもやらないといけない…チーム全体にそう思わせる。走る姿を見れば、その選手が野球とどんなふうに向き合っているかがよく分かるんですよ」

 敵軍の将として新井は大山をそんなふうに見ていた。かつて自身も経験した重責を知るからこそ、言う。

 「僕も経験しましたけど、阪神の4番の重圧は大変。今年のタイガースは脂の乗った選手が多いですけど、中心にいるべきは大山だと思いますよ。僕は選手の走る姿を一番見るんです。ヒットを打とうが、凡打だろうが、大山は一塁への全力疾走を欠かさない。簡単なようで、難しいことです」

 待ち時間が長いので、新井カープの戦いを偵察に広島へ行こうと思う。それにしても…大山悠輔のタイトルはうれしい。=敬称略=

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