ロバート・ローズのように

 【8月30日】

 横浜のレジェンドが甲子園に来た。知人とスタンド観戦した今カード初戦のことだ。試合前、ベイスターズブルーのTシャツを着た外国人が売店で並んでいた。あれ?見たことあるんやけど…。

 誰だっけ?

 よくよく見ると…

 ロバート・ローズだった。

 奥様と一緒に買い物をして、その足で向かったのは、なんと、ビジター席のレフトスタンド。レジェンドに気付いたDeNAファンは大歓声をあげ、懐かしのヒッティングマーチを奏でていた。

 どうやら自らの希望で実現した応援企画で来日したそうだけど、外野席の最上段で古巣を応援する元助っ人なんて、僕の記憶では一人もいない。

 だって…例えば、シェルドン・ノイジーやヨハン・ミエセスが数年後そんな行動に出るだろうか?いや、ちょっと考えられない。

 マット・マートンは今シーズン来日したけれど、彼が横浜スタジアムのレフトスタンド最上段でタイガースを応援することは、まずこの先もないような気がする。

 マートンといえば(?)試合前に甲子園のエントランスフロアで能見篤史と話をした。

 この夜はABC(朝日放送)の解説席に座った能見だけど、聞けば早くも日本シリーズ関連の仕事のオファーが舞い込んでいるのだとか。そりゃそうか。僕がテレビ局の偉いさんでも、能見に声を掛けておく。だって…いや、まだその話はしない。

 それはさておき、能見はノイジーのバッティングを褒めていた。

褒める…というか、マウンドに立った投手として対峙(たいじ)すれば「嫌なバッター」だと…。打ちそうな、綺麗なスイングをしているというのだ。これは、絶対に僕らには分からない感覚である。

 トレバー・バウアーから先制弾は嬉しい。ただ、ようやく6本目…。甲子園を本拠にする右打ちの助っ人だから、もう少し頼もしいバッティングを…そんなことを仰るファンもいるかもしれない。

 頼もしいといえば、それこそ、横浜ベイスターズ時代のロバート・ローズである。

 彼のサイクル安打を取材したことを思い出した。それも、ただのサイクルじゃない。あれは、1999年だから僕がカープを担当した時代。富山アルペンスタジアムの広島対横浜で、ローズはNPB史上初となる3度目のサイクル安打を記録したのだ。ガンガン、スタンドに放り込むタイプではなかったけれど、NPB通算打率・325を残したヒットメーカーであり、8シーズンの在籍でベイスターズ優勝の立役者にもなった。

 そんな彼だけど、来日当初は打力よりも、内野手としてその守備力を期待された助っ人だった。確かにうまかったし、ベイスターズが日本一に輝いた98年は、ゴールデン・グラブ賞も獲得した。

 ノイジーのゴールデン・グラブ獲得予想を4月号の『月刊タイガース』に書いた。敵ながら天晴れだったローズのような頼もしさがほしい晩夏である。 =敬称略=

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