投手版DFWを見たい
【12月20日】
西純矢のツイートが好きでフォローしている。飾らない、まっすぐな投稿にとても好感がもてるので…。気を引いてフォロワー数を欲しがるわけでもない。彼の純粋な人柄が出ているといつも思う。
そんな西純が最新の投稿で「カッコいい…」とつぶやいたのは、サッカー天皇杯決勝の「サヨナラゴール」である。僕も観て震えたし、共感できたので思わずリプライ。彼らしく、丁寧に返してくれた。タイガースのサッカーコミュニティーがあれば参戦したいくらいなので、テンションは上がる。
今季限りで浦和レッズを退団する槙野智章が、終了間際に頭で劇的な決勝弾をぶちこんだわけだけど、西にとってはその感動プラスαの感激があった。槙野とは同じ広島出身であり、県内でも地元がとても近い。プロアスリートとして憧れ、親近感もある元日本代表が、愛するクラブへ惜別ゴール…そりゃもう「カッコいい」よな。
いつか、自分も日本代表として世界と戦いたい…高校時代に日の丸を背負った侍として必ず抱く野心もきっとある。西純が来年以降どんな進化を遂げ、どんなスタイルの投手としてプロでメシを食っていくのか、エースになるのか。楽しみしかない。
オッサン記者はその未来像を想像する。サッカー風に書けば、それこそ「オフェンシブ」な投手になるのではないか。窮地で逃げない。攻めのマインド。見ていてワクワクするマウンド度胸…。勝手にああだこうだ書いてごめんだけど、どんどんふくらむ。
かつて槙野は自らのポジションを「DFW」と評した時期があった。これは「DF」と「FW」を重ねた表現でディフェンスながらフォワードの力も兼ね備えたい渇望である。練習でシュートの精度を磨いていたことは有名だけど、僕は、西純にもいわば「DFW」ぶりを期待してみたい。高校通算25本塁打の打力はもちろんオフェンス力といえるが、期待するのはマウンドでの攻撃力である。
「ピンチの時こそ本来の投球ができる勝負強さが持ち味です」
振り返れば、西純は2年前の新入団会見でそう語っていた。
窮地で打者に向かっていく気概もそうだし、走者を背負った局面での攻めのフィールディングもそう。他でもない、攻守でセンスの塊=西純だから期待してしまう。
高卒3年目なので、来年も強化指定選手として鍛錬を積むわけだけど、新人が加われば、下からの突き上げも感じるようになる。1軍定着へのプロセスで、ときに袋小路に迷い込むこともあるだろうけど、西純は西純のまま、そのストロングを薄めないまま、大成してほしいと願っている。
槙野は「DFW」であることで自身が「ポリバレント」つまり、ユーティリティーと見なされ、本来の強みが消えてしまうのでは…と、かつて悩んだそうだ。
西純の場合、投手版「DFW」こそオンリーワンへ続く道であるように思う。マウンドでここ一番決定力のあるエース…いうならばそんな風な。=敬称略=