俺の評価はめちゃ高いぞ…

 【9月1日】

 由宇から甲子園へ帰ってきた。この仕事をしていると、沖縄も北海道もさほど遠いと感じないけれど、今回はドンコウ列車に揺られたからか、珍しく長旅に感じた。

 ウエスタン・リーグ広島戦を取材したおととい(8月31日)、夜は阪神宿舎のある山口県柳井市で関係者と食事し、最終便で広島まで移動した。夜は寂しげな柳井駅で、列車を待つ乗客はまばら。各駅停車のJR山陽本線に揺られ、岩国で乗り換えて、1時間40分。ガラガラの車内で、売店で買っておいた週刊文春を流し読んだ。

 ふと目にとまったのは、ワイド特集「金足農の奇跡」。時のひと吉田輝星の家族、恩師が文春の取材に逸話を語っている。「運動神経が飛び抜けている」「身体が強い」「愛読書は金農元監督の自伝『雑草軍団と28年』」「(農業高校なのに)動物が苦手」…等々。

 明日開幕するU18(18歳以下)アジア選手権に参加する輝星のフィーバーはまだまだ続きそうだ。ニュースで壮行試合の映像を見たが、あの浮き上がるような速球、いわゆるライジングボールは今すぐプロでも…と思わせる魅力がある。「未定」という彼の進路に注目していきながら、もしプロ志望の結論を出したときはもちろん、取材しなければならない。何が?って、そりゃ、ズバリ…です。

 阪神がドラフトで吉田輝星を欲しがるのかどうか。欲しいなら1位指名するしか選択肢はないわけで。本紙としても、この先の補強戦略を注視しなければならない。

 虎の編成会議は、大小含め、既に数回行われている。そもそも、今秋の1位は野手なのか投手なのか。高校生なのか、大学・社会人なのか。僕の取材では、まだそこが煮つまっていない。大学進学かプロか進路が定まらない吉田輝星をハナから外すのか。彼の動向を見守ってから方針を固めるのか。取材側にとって、今年のドラフトは面白い。1位が割れそう…いやそれは蓋を開けてみなければわからない。いずれにせよ、我が阪神に限って迷走しないように願う。

 あ…「面白い」なんて書けば、スカウト陣や金本知憲から怒られるか。当事者からすれば、例年以上に戦略の「難しい」ドラフトになるかもしれないのだから。

 DeNA戦を観ながら思い出した。昨秋の裏話をひとつ…。ドラフトを一カ月後に控えた頃のことだ。金本との雑談の中で、当方の母校立命大の“後輩”東克樹の話になった。収集した情報をもとに「立命だから僕は贔屓目ですけど即戦力としては…」。そう振ると金本は「あのな、俺の評価はめちゃ高いぞ」。そんなやりとりがあったから、ドラフト当日のあの瞬間、反射的に阪神陣営に目がいった。DeNAが清宮幸太郎、中村奨成に目もくれず、東を一本釣りしたときの金本のやられた感…あの悔しげな表情は半端なかった。

 今カード、甲子園でDeNAルーキー東は投げない。彼の成績?防御率2・63は大瀬良、菅野に次ぐ堂々のセ・リーグ3位である。ハイ…わたくしの見る目がございませんでした。=敬称略=

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