新井にサードは無理やって!【5】

 ‐育てると言えば、金本氏が入団した当時の広島のお家芸。金本氏を育てた広島の練習量はどんなものだったのか。

 金本「田舎の反骨心というか…とにかく徹底して(練習を)やらせますよね」

 岡田「(02年の岡田2軍監督時代に2軍投手コーチを務めた)御子柴に一度、由宇(広島2軍のホーム球場)で言うたことがあるんよ。『分からんことがあったら、(広島のコーチに)聞きに行け!』って。2軍のピッチングコーチが初めての経験で、まだまだ勉強せなあかんかことが多いんやから。『聞くことは恥ずかしいことじゃない』と言うてな。当時はカープの2軍(投手コーチ)に小林誠二がおって、あいつは、『1試合120球で完投するんやったら、ブルペンで倍の240球投げさせる』って言うとったわ」

 (続けて)

 岡田「オレはピッチャーのことはよう分からんかったけど、若いピッチャーがキャンプ中のブルペンで、勝手に『はい、ラスト5球!』とか言うとる。『きょうはノースローです』とかな。若いピッチャーが、何がノースローやねん。4日したら、1日休みやろ(笑い)。今までキャンプで球数投げるのが井川であり、球児であり、久保田やった。結局、そういう選手は皆、ええピッチャーになっとるんよ」

 新井貴を今季4番に指名した岡田氏は、阪神監督時代の07年オフに獲得した愛弟子の現状を案じている。金本氏も長年かわいがってきた弟分だけに、近年の不振がもどかしくて仕方がない。

 ‐岡田政権時代の08年に新井は「3番一塁」で虎デビュー。ゴールデングラブ賞を受賞するなど、前半戦独走の立役者となった。ところが、翌年の真弓政権で三塁へコンバートされると開幕から大不振に。岡田氏はこの配置転換が、新井の打力に影響を与えたと断言する。

 岡田「(新井の)サードは無理やって!そんなもん。どれだけ、広島時代から見てるんよ」

 金本「(爆笑)」

 岡田「オレ、サードのサの字も言うてないよ。1試合だけ延長戦で守らせたけど。間違いなくバッティングに影響するわけやから」

 ‐右肩の故障がスローイングにも影響を与え、打撃不振を招いたとされる。当時、一塁守備は目を見張るものがあった。

 岡田「そら、あいつ、(08年の)ゴールデングラブよ。初めてらしいな、ゴールデングラブとって(翌年に)ポジション変えられた選手は。センターからライトいくいうのはあるけど、内野手では前例ないはずよ」

 ‐来季、新井のポジションは一塁が濃厚。復活を期待したい。

 金本「彼が頑張る選手なら、頑張ってほしいですけど、彼は頑張らない選手なんでね(笑い)。あいつが肩をケガしたときも、肩の故障経験があるセキ(関本)と肩を大ケガした僕が新井に『肩をやってしまうと、めちゃくちゃ大変だから』とアドバイスしたのに、彼は何にもやらないんですもん。下半身のトレーニングにしてもそう。もともとトレーニングをやって強くなったんだから、『これからもやったほうがええ』と言い続けても、やらない。兄に比べて弟は一生懸命やる。ポーズもあるけど、良太は実際にやってますからね。こっちが『ちょっと休めよ』と言うくらいやってますよ、弟は」

 ‐軸となるべき鳥谷の打撃にも期待を込めて。

 金本「トリの身体能力からすればもっと打てる。今年はホームラン8本でしょ。いくら飛ばないボールといっても、物足りないでしょう」

 岡田「バッティングカウントでも、追い込まれたような打ち方をしてるよな。最初からもっと、どんどん振っていけばええんやけど、ずっと、2ストライクに追い込まれたようなバッティングしてる。そのへんは変えなあかんわな」

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