阪神・坂本「何かが変わった」7連敗した日、ミーティングで伝えた思い 苦しさの中から「また違った優勝を味わえた」

 「広島6-4阪神」(3日、マツダスタジアム)

 阪神の坂本誠志郎捕手(32)がデイリースポーツ読者に向けて思いを綴るコラム、「打-dozen-」。第5回は主将として連覇を達成した裏側に迫った。7連敗を喫した9月15日の中日戦(甲子園)の試合後、なぜ全選手の肩をたたきながらクラブハウスへ送り出したのか。その試合前に開かれたミーティングで伝えたかったこととは。坂本にしかできない“仕事”が、終盤のチームを一つにした。

 みんなで1年やってきて、この瞬間を、と思ってやってきたのでうれしい。みんなそれぞれのしんどさや苦しみはあったと思う。だけど、今日はこの瞬間を味わって、浸って、やってくれたらいいなと思う。

 終盤は僕が一番足を引っ張ってるから、足を引っ張ってるやつに「お疲れさん」と試合後に肩をたたかれたら、普通の人は「おまえがちゃんとやれ」と思う。だけど、優勝したから言えるのは30打席打ってないことはどうでもよかった。9月は勝てばいいから。何とか勝つためにどうしたらいいか。打てなかったら、守っとけばいいよと。ただ、捕手として点も取られて、守れてないというのも事実だから、たたかれるのは覚悟していた。

 もちろん、なんとかしたいとは思っていた。でも優勝したら、極論はこのまま今年は安打が出なくてもいいと。あの試合前、ミーティングで思いを伝えた。キャプテンだからと特別、意識したことはない。何かしないといけないチームじゃないというのは、ずっと思っていたから。ただ、チームで動いてるから、みんなが同じ方向を向かないといけない。ちょっと方向が違う時には発信しないといけないと思って、片手に収まる程度でことあるタイミングで発信をした。

 その一つが7連敗をした試合前。もちろん結果が出るし、相手の結果も気になる。でも、あんまりそういうことに左右されず、目の前のことを集中してやろうと。周りの人は「俺が、俺が」というふうに見えると言ってる人もいる。事実かもしれないけど、それよりも自分たちが勝手に「やばい」とか「打てない」とか、もしくは“何となく”という思いの打席で、打ってみてダメだった、となっている。僕は“何となく”が好きじゃない。

 ああいう結果なら、そう見えてしまう。でも去年も勝っているという、過信じゃなくて自信は持てばいいと思うと。みんなの力をちゃんと出せば勝てる、というのはわかっている。だから、あんまり考えすぎずに、胸を張って野球をやろうよという話をした。

 みんなでやろうと言って結果は負けたけど、明らかにあの日の試合の雰囲気やみんなの姿勢に「何か変わったな」というのは感じた。「ちょっと今日、雰囲気ありましたね」と言ってる選手もいた。雰囲気が変わったから必ず勝てるというわけではないけど、1人がちょっとしたことを積み重ねれば、みんなで空気は変えられる。それだけの力や技術、メンタルをみんな持っている。「もうそろそろ大丈夫だな」という感覚はあった。

 みんなが一つに、束になってやろうよと言ったら、自分たちのチームに勝るチームはないはず。その雰囲気と空気を何とか早く作りたかった、立て直したかった。1点を取って、こんなにみんな喜んでた?と。そうやって1点を取ってみんなで喜んで、1点を取られてみんなで悔しがる。そこがつながっていかないと、流れ作業になってるようじゃダメだと。そういうことを、もう1回みんなに思い出させたら、その仕事は僕がヒットを打つことよりも、大事なことじゃないかなという感覚はあった。それが9月15日の中日戦で見えたので、そろそろ大丈夫かなと正直思った。

 キャプテンとして、優勝できなかった時の方が責任は重かった。できなかったら僕のせいだと思うし、勝った時には何もしてないから、何もしなくて良かったから勝てたという感覚になれると思った。過去2回の優勝はゲーム差が離れていたけど、今回は終盤に7連敗した苦しさの中から優勝した。これを取れなかったで終わらすのと、しんどかったけど勝てたという経験値で言ったら、絶対に勝ち切らないと得られないものがある。また違った優勝を味わえた。

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