阪神OB戦士が野球少年に三者三様の打撃指導 限られた時間で伝えたポイントとは 野球振興イベント「トライアルベースボール」開催
阪神が今年から始動させた野球振興イベント「トライアルベースボール」。17日に岡山県倉敷市の「マスカットスタジアム」で行われた野球教室では、球団OBの八木裕氏(60)、葛城育郎氏(48)、森田一成氏(36)が地元の野球少年に打撃指導を行った。たかが30分、されど30分。限られた時間の中で、何を一番に伝えたか。岡山にゆかりのある3人の思いを聞いた。
打撃とは-。辞書を引けば「野球で打者が球を打つこと」。その単純明快な作業にあまたの求道者が心血を注いできた。1グループ約30分の野球教室で、あれもこれもと極意の全てを伝授するのは不可能。では、何を伝えるべきなのか。語りかけた言葉は三者三様だった。
「野球はね、結局パワーなんだよ」。岡山出身の八木氏はいきなり“真実”を告白することから指導を始めた。技術を教わりに来た野球少年に向けたセンセーショナルな第一声。通算126本塁打のスラッガーはその真意を明かす。
「野球を続けたいと思ってもらうためには、やっぱりうまくなってもらわないといけない。技術も大事ですけど、結局体力がなくて途中でやめる子も多いんですよね。だから、体力をしっかりつけていく。その先に未来が見えてくる」
練習が始まれば「しっかり振ろう」「しっかり構えよう」というシンプルな言葉を使いつつ、一人一人の打撃を手取り足取り指導した八木氏。それでも、最後は「ちゃんとご飯を食べるんだよ」と伝えた。
一方、倉敷商OBの葛城氏がまず伝えたのは「空振りはダメじゃないよ。でも空振りには必ず理由があるんだよ」という言葉だった。
「やっぱり空振りが一番腹立つじゃないですか。ちっちゃい子が空振りを嫌がらないようにっていう思いもある。当てるだけで良いわけじゃないですけど、当てることの喜びもある」
バットで打つ前に、まずはトスした球を手で捕球してもらうことから練習を開始。「手では捕れるんだから、バットに当てることもできるっていう感覚を持ってほしくて」。バットに当たることの楽しさをまずは大事にしてほしいという思いがにじんだ。
「構えなんか何でもいい」と、伝えたのは岡山出身の森田氏だ。「フルスイングして打つことが大前提。(1、2、3で振る時の)2を大事にしてくれたら、3に行きやすい。構えは別に人それぞれなので」。タイガースアカデミーでコーチを務める経験も生かし、打球がネットに入った数を競うゲームを取り入れながら、野球の楽しさを伝えた。
三者三様のアプローチがあっても、共通するのは「楽しくやろう」という思い。「小っちゃい子が楽しそうにやっている姿を見たら、まだまだ野球を楽しめる子もたくさんいるんだと思えた」と葛城氏。垣間見えた“希望”に、全力指導でかいた汗をぬぐった。
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野球教室に参加した小さな球児たちも元虎戦士の全力指導に目を輝かせた。
地元の少年野球チーム「山手野球スポーツ少年団」に所属する子どもからは「しっかりボールを見たら打てたから大事なんだと勉強になった」と、葛城氏の指導に感謝の声。また、「僕は振った後に下半身がグラグラしちゃうんだけど、今日教えてくれた人たちはみんな、バットを振っても全然グラグラしていなかった」と驚きの様子だった。
野球教室の最後には「全力スイングを見せてください」というリクエストもあった。八木氏は「俺はもう年だから」と苦笑いだったが、代わって森田氏が実演。風を切るスイング音に「おぉ~」と羨望(せんぼう)のまなざしを向けていた。(デイリースポーツ・藤丸紘生)
【各OBの指導ポイント】
◆最初に伝えた言葉
八木氏「野球は結局パワー」
葛城氏「空振りはダメじゃない」
森田氏「構えは何でもいい」
◆主な指導内容
八木氏「しっかり振る」
葛城氏「ボールを手でキャッチするような感覚で、まずはバットに当ててみる。振った後に下半身がぐらつかないように」
森田氏「まずは全力で振る。後ろの足をくるっと回転させる意識を持つ」
