617日ぶり白星の阪神・西勇 目の前の1球に心血「丁寧にやる」 「自分の感覚から程遠く」右膝内側側副靱帯の変性からの復帰への道
「ヤクルト2-10阪神」(30日、神宮球場)
阪神が今季最多16安打10得点で2位ヤクルトに2連勝としてゲーム差を1に広げた。今季初登板初先発の西勇輝投手(35)が5回4安打2失点で2024年8月21日・ヤクルト戦以来617日ぶりの白星を手にした。打線は初回に5連打で3点を奪うと三回には女房役、伏見寅威捕手(35)のタイムリーで加点。6-2七回には佐藤輝明内野手(27)の7号ソロなどで突き放した。
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目を覚ますと毎朝、表情が歪んだ。昨年の春先に発症した、右膝内側側副靱帯の変性。西勇は「歩くのも、朝ベッドから起きる時も痛かった。アクセルもね」。右足を適度な角度に曲げた状態を保つ運転中も、つらさがあった。
日常生活に支障がなくなったのは2カ月後。ただ、“元の自分”ではなかった。「自分の感覚から、程遠くなってしまった感覚があった。痛みを避けた投げ方をしていて、いい球もいかなかった」と葛藤を続けた。
プロ3年目の2011年から24年まで、14年間も開幕ローテを守ってきた実力者が初の長期離脱を経験。「14年間投げてきたものがあったのに、右膝内側の痛みだけで、こんなに回復するのが難しい、こんなに繊細なモノだったとは分からなかった」ともがいた。焦る気持ちと戦いながら、復帰への道を模索。「1軍に上がりたい一心やったけど『そうじゃないな』と」と原点回帰を掲げて歩みを進めた。その過程で貫いた姿勢がある。
キャンプ中から頻繁に「丁寧にやる」と繰り返してきた。しっかりやっていく、頑張る、という言い回しではないのが気になった。計1000球ほど投げ込む2月。「『今日はこれぐらいでいい』となるのが心理。反復練習で雑になってしまいそうな時もあるけど、1球たりとも欠けたくなかった。全部、丁寧にやらないと(感覚は)戻らないと思ってたからね」。活路を見いだすには、目の前の1球に心血を注ぐしかなかった。
4月上旬には「やっと7割ぐらいに戻ってきた」と少し明るいトーンで現状を明かしてくれた。「キャンプ中、一球一球丁寧にしてなかったら、まだ4割だったかもしれない。だから丁寧にやるのが大事やった」。一切の妥協を排除した取り組みの先には、最高の笑顔が待っていた。(デイリースポーツ・向亮祐)
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