【岡義朗氏の眼】阪神がまたしてもDeNA・ケイに苦戦 「右打者の残像として刻まれている」という厄介な球種とは
「阪神0-3DeNA」(9日、甲子園球場)
阪神は7日のリーグ優勝決定後の初戦でDeNAに敗れ、連勝が4でストップした。今季はこの試合まで6試合対戦して防御率0・68と苦戦してきた先発・ケイに7回3安打無失点の好投を許した。広島、阪神などでコーチを歴任したデイリースポーツ評論家の岡義朗氏が右打者封じを得意とする左腕を分析した。
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阪神はケイにまたしても好投を許した。
今季のケイは左打者より右打者を抑えている。阪神も左打者の対戦打率・200(100打数20安打)に対して、右打者は同・017(59打数1安打)だ。その理由は内角カットボールにあると思う。
右打者の反応を見ると、真っすぐだと思って振りにいったらカットボールで、食い込んでくるから詰まらされている。
打者からすると、これは残像として脳裏に刻まれるし、詰まらされるのは嫌だから、今度は体を開いて打ちにいく。投打の左右は逆だが、広島時代の金本知憲(元阪神監督)が藪恵壹の内角カットボールに苦しめられて「あの球、嫌です」と言い、対策に苦慮していたことを思い出す。
打者はこういう意識になって、内角球を開いて打ちにいこうとすると体が開く分、余計にバットが遅れて出てきて詰まるし、外角のチェンジアップなど抜いた球でタイミングを外され、対応できなくなる悪循環に陥る。
ケイのような投手に対してはバットを短く持つとか、コンパクトなスイングに切り替えるとか対策はある。当然、藤川監督を含めた阪神ベンチも考えていたとは思う。ただ、CSでの再戦に備えて策を使わなかった可能性もあるだろう。
また、優勝が決まった後だし、「力勝負で打ってこい」と送り出していたのではないだろうか。そもそも今日のケイの投球なら、どの球団も攻略は難しかっただろう。今回は好調時のケイのデータも取れたし、次回は対策を練って攻略してくれるはずだ。
投手では先発の村上が7回4安打3失点で敗戦投手となった。防御率や最多勝のタイトルを目指す上では痛い1敗にはなった。
今季はこの試合までイニング別で最も失点しているのが二回(14失点)だった。
この試合も初回は良かった。先頭の蝦名へ外角低めへ投じた直球を見ると、「おっ今日はいけるな」と感じさせてくれたが、二回は球が浮いていた。
投手は初回の入りが難しいと言われる。そこを乗り越えてホッとする心理面が影響しているのかもしれない。
2死一、二塁ではケイにフルカウントから高めに浮いた真っすぐを捉えられ、左中間への2点二塁打を許した。「投手に打たれるわけにはいかない」「四球で歩かせられない」という思いからコントロールに気をつけようとして、プレッシャーがかかって制球が乱れたのかもしれない。
それでも三回以降は本来の投球だったし、二回以外は完璧だった。ポストシーズンまで先発する機会はあるし、二回に対する嫌なイメージを払拭してもらいたい。
個人的には今日は優勝から2日後の試合だったため、ホッとしたことから生まれる凡ミスなどが心配だったが、それもなかった。全体を見ると切り替えが効く内容だった。
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