【岡義朗氏の眼】CSへ手の内を隠した阪神・藤川監督 大胆な起用&采配を可能にさせるチームの成長
「阪神3-4巨人」(29日、甲子園球場)
阪神は連敗で優勝マジックは「11」のままとなった。先発の大竹は六回1死満塁の場面で途中降板。代わったドリスがキャベッジに3点適時二塁打を浴びた。打線は3点を追う八回に森下が19号ソロ、佐藤輝が34号ソロと2者連続のアーチで追い上げたが、反撃及ばず1点差で敗れた。デイリースポーツ評論家の岡義朗氏は五回の攻撃に着目。大胆な起用、采配を可能にさせる戦いぶりにチームとしての成長を感じ取っていた。
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敗れはしたが投打で見応えのある試合内容だった。森下、佐藤輝の本塁打も見事だが、チーム力の高さを感じさせたのが五回の攻撃。1点を追う場面で先頭の大山が出塁。続いて熊谷が打席に立った。CS、日本シリーズで同じケースならバントだと思うが、阪神ベンチは強攻策を選択した。
バントを選択すれば下位に回る中、阪神サイドは代打策、巨人サイドは申告敬遠で投手に回すのか…など両チームに駆け引きが生まれる。藤川監督からすれば短期決戦に向け、手の内を隠した作戦だったのではないか。そんな大胆な作戦や選手起用には、首位を走り続けるチーム状態もある。
熊谷の成長も、作戦を可能にさせる要因の一つだ。「打て」のサインには藤川監督の信頼を感じさせた。技術的にはバットを出す角度がいいなどあるが、何より経験による自信が打席内の余裕になっている。いまはデータ重視の野球。結果としてヒットでつないだことで、バント以外の選択肢が広がったのも収穫だ。
熊谷だけではなく小幡や高寺、豊田や中川といった若い選手も出てきた。個々の競争が激しくなっていることで、各選手の力が伸びている結果だろう。大胆な起用、采配を可能にさせる今年の戦いぶりは、チームとしての成長を感じるものだ。首位を独走する中で「勝ちながら育てる」という好循環が生まれている。
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