阪神・石井 日本新40戦連続0封「準備はプライドを持ってやってきた」 マジック2つ減って「22」
「巨人1-3阪神」(17日、東京ドーム)
こともなげに抑えた。阪神・石井大智投手(28)が2点リードの八回に登板し、1回を1安打無失点に封じてプロ野球新記録となる40試合連続無失点の金字塔を打ち立てた。右腕の快投もあって巨人に連勝を飾り、優勝マジックは藤川球児監督(45)の背番号と同じ「22」となった。2位とのゲーム差は今季最大の「13」。もう後ろを振り向く必要はない。
その姿、まさに威風堂々。歴史的瞬間への高揚感に包まれる中、走者を背負っても危なげを感じさせない。石井が40試合連続でスコアボードに「0」を刻んだ。「たまたまかな、と思います。たまたまを引き寄せる、いろんなことをしてる自覚はありますけど。準備はプライドを持ってやってきたつもり」。派手に喜びを表現することなく、プロ野球新記録を謙虚にかみしめた。
八回、石井の名前がコールされると、左翼スタンドのボルテージが一気に高まった。小走りでマウンドへ向かって、クリーンアップと対峙(たいじ)。1死を奪った後、4番・岡本に内野安打を許す。キャベッジには3球連続でボールとなったが、ここからが真骨頂だ。
「変化球が合うバッターと思ってたので、しっかり抑えられて良かった。誠志郎さん(坂本)のリードに助けられました」。カウントを整えた後、オール直球勝負の8球目で見逃し三振。続く岸田の打球が右翼・森下のグラブに収まるのを確認すると、グラブを小刻みにたたいて仕事を終えた。
敵地には「いいぞ、いいぞ、石井!!」の大合唱が響き渡ったが、「ごめんなさい、全然聞こえてないです…」と恐縮。集中のあまり、称賛の声は耳に入らなかったが、ベンチに戻ると記念球を受け取った。「(甲子園)歴史館に飾るみたいなんで(スタッフに)渡しました。自分の家に?全く思わないです」と快挙を平然と受け止めた。
20年度ドラフトで、12球団の支配下最後となる74番目の指名で8位入団。NPB史上初の高専卒業選手として、最後発からプロの歩みを始めたが、背中を押し続けてくれている言葉がある。『Living is not breathing but doing(生きることは呼吸することではない。行動すること)』。フランスの哲学者・ルソーの名言だ。
「変化を恐れないというか、常にやることに意味があって。同じ球を投げてもヒットになる時もあれば、凡打になる時もある。運みたいなところも多少あるかもしれないので、その確率をどれだけ下げられるかも考えてるので」。日々の努力を怠ることなくまい進し、前人未到の領域へたどり着いた。
白星に尽力した結果、優勝マジックは2つ減って「22」に。貯金は今季最多の「25」まで積み上げた。試合後も新記録達成の実感は湧かなかったが、込み上げてきた気持ちはあった。
「一試合一試合頑張って来ましたが、頭に当たった試合は2球しか投げてないですし、その後を湯浅が抑えてくれた。そういうところで自分の力ではないですし、日々守ってくださる野手の皆さんにすごく感謝したい」。6月6日のオリックス戦で頭部に打球が直撃するアクシデントに見舞われたが、仲間の支えが身に染みた。猛虎の絆で成し遂げた金字塔。それが何よりも誇らしい。
◆MLB記録に並ぶ連続無失点試合、連続イニング無失点も39に 石井がNPB新記録の40試合連続無失点を達成。MLB記録もアストロズのプレスリー(18~19年)、ブルワーズのヘイダー(21~22年)がマークした40試合で、この記録に並んだ(MLBは年またぎも適用)。また、連続イニング無失点も39となり、球団記録上位3傑の藤川球児(47回2/3)、小山正明(47回)、江夏豊(41回)の数字が目前に迫っている。
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