阪神・近本が明かす「盗塁増の理由」とは スライディング、首脳陣との風通し、走ることへの意識
阪神の近本光司外野手(30)がデイリースポーツ読者に向けて、特定の試合やシーンで何を感じていたか、何を考えていたかを明かす新企画「余韻」。第2回は「祈り」、「走塁」にスポットを当てる。今季は走塁が好調である要因を分析。積極的に走れていることについての感じていることや思いも語った。
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昨季は141試合に出場して企図数28で19盗塁、成功率・679でしたが、今季はここまで85試合で企図数28、23盗塁、成功率・821といい数字を残せています。今年盗塁が増えている要因としてはまず、交流戦で8盗塁できたことが大きかったです。初めての対戦相手にも、勇気を持って早めにスタートを切ることができたのがよかったと思っています。
その中で悔しかった盗塁もありました。6月21日・ソフトバンク戦(甲子園)の二回無死一塁、中野の初球から走ったシーンです。最初はセーフだったのですが、リプレー検証で覆ってアウトになりました。自分でも走りながら「足が動かん」と感じていて。「こんなに遅いのか」とショックを受けていました。原因は明確でした。盗塁しすぎた疲労です。でも交流戦明けの休み期間で何とか元に戻せたのでほっとしました。
連敗を7で止めた6月18日・ロッテ戦(甲子園)の三回1死二塁では田中晴から三盗を決めて先制点につなげました。でも実は、同10日・西武戦(ベルーナ)の初回1死二塁で隅田から決めた三盗がカギになっていました。完璧な三盗だったので、そこで三盗に対するハードルが一回下がったんです。「三盗ってこんな感覚やったな」と思い出せました。
三盗はスタートさえ切ってしまったら、そこまで出力を上げなくてもいいので体的には楽です。でも、二盗よりもストレスはかかります。得点圏にいて、粘ったら3番、4番に続いていくのにアウトになるってすごくもったいないからです。だからこそ、一度セーフになっているという経験は大きかったです。
今年はスライディングでうまくかわせているのも盗塁が増えている要因だと思います。僕は右脚を曲げてスライディングをします。その時タッチしづらいように、左脚はくの字のようにし、できるだけ横向きによけるようにしているのですが、それがうまくはまっていると感じています。
6月18日・ロッテ戦(甲子園)の八回のプレーがそうでした。2死二塁から中野が右前にヒットを打って、山本からホームにワンバン送球が返ってきました。タイミングはアウトだったのですが、ホームへのスライディングでうまくかわして追加点を挙げることができました。
今年は走りやすい環境というのも大きいです。アウトになった時にどれだけ選手をフォローできるかが次にもつながると思うんです。僕たちが思っていることはコーチを通して藤川監督に伝えてくれます。監督の話もコーチから伝えてもらえていて風通しのいい環境です。盗塁は実戦感覚を養うためにも企画が大事になってきます。アウトの不安をフォローしてくれているからこそ、今年はたくさん企画ができています。
自分としては今年は思ったよりも走れている、勇気が持てていると思います。同時に勝負しているという感覚もあります。今年でプロ7年目を迎え、5回盗塁王もとってきました。でも今年は走った後に「僕、若くなかったっすか?」って筒井外野守備走塁コーチに思わず聞くことがあります。若い時のようにプレーできているなって感じるんです。「がっついてるな」って恥ずかしくなる時もあるくらい(笑)。
野球ってどのプレーでも走るので、そこをもう一度取り戻すっていう思いはあります。そしてそこを取り戻せているのはすごくいいこと。中軸が打ちやすくなっているのが今年は顕著に見えますし、チームにとってもプラスだと思っています。
今年31歳になりますが、長い目で見た時に「まだ31歳」と思えるようにしたいです。中日の大島さんは34歳の年に30盗塁していたし、(糸井)嘉男さんも35歳で50盗塁していたので、それを考えたらまだまだ走らないといけないなって思っています。
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