阪神・佐藤輝 24号V2ラン!84試合目でキャリアハイ並んだ 「全然狙っていない」も今季初聖地右翼席弾に確信バット投げ

 「阪神2-1ヤクルト」(13日、甲子園球場)

 打った瞬間にそれと分かる会心の一撃で、聖地は興奮のるつぼと化した。浜風なんて関係ないといわんばかりに、黄色く染まったライトスタンドへ自己最多タイとなる24号先制2ランをたたき込んだ。勝利の立役者の1人となった阪神・佐藤輝明内野手は「いつも通りというか、そういう感じですね」と謙虚に振り返った。

 両軍無得点で迎えた六回。先頭の森下が安打で出塁。さらに暴投で進塁し、無死二塁の好機となった。球場の押せ押せムードが最高潮の中、先発・アビラのチェンジアップが高く浮いたのを見逃さなかった。真芯で捉えると、打球は虎党が待つ右翼スタンドに一直線。今季初めてとなる右方向への一発を突き刺した。

 2打席目まではチェンジアップに苦しめられたが、この打席はひと味違った。「普通の曲がりとは違うね、チェンジアップなんですけど、うまく対応できた」と手応え。緩い球を狙い澄ましたかのような一振りに見えたが、「全然狙っていない。なんとかヒットを打ってね、先制点をというところでした」と執念でつかみ取った。

 甲子園の浜風は、左の長距離砲にとっては大きな壁。この日も風の音が球場全体に響き渡るほど強く吹いていたが、見事に浜風をはねのけた。苦汁を飲まされながらも今季ここまで重ねてきた「24」という数字は努力の証しだ。

 「(甲子園の浜風は)もう5年目ですけど、さんざん嫌な目にあってきたので。それを乗り越えて、ホームランでタイトル取れたらさらにうれしいじゃないですけど、そう感じている」と佐藤輝。本塁打の出にくい甲子園を本拠地にする球団から、キングが誕生すればロマンでしかない。

 価値ある一発が勝利へ導き、チームも2連勝で貯金最多の19と勢いに乗る。力強く逆境をはねのけたテルなら25号も。いや、その先も見せてくれるはずだ。

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