阪神・ドラ1伊原 野球脳-準備力-制球力 新人王へ成功のトライアングル 片山コーチが意識の高さ評価

 阪神ドラフト1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=はここまで9試合に先発して5勝1敗、防御率1・19と新人王に突き進んでいる。規定投球回にあと3回1/3に迫っており、安定した投球で他球団ルーキーと比較しても圧倒的な存在感を示している。即戦力としての期待に応えられている左腕の3つの強みに迫った。

  ◇  ◇

 伊原は開幕を中継ぎとして1軍で迎えた。6試合に登板して防御率0・00と力を示し、4月20日の広島戦(甲子園)でプロ初先発初勝利を飾ってローテ入り。前回15日の楽天戦(楽天モバイル)は6回2失点で自己最多の8奪三振を記録した。

 プロ入り後、最も成長したのは野球脳だ。「データを見た上でどう攻めるか、捕手とかとコミュニケーションをしっかり取った中で試合に入る。攻め方がいろいろ変わるので、そこが一番変わった」。NTT西日本時代からデータ分析は行っていたが一層、細かくなった。社会人よりも短い登板間隔の中で対戦を繰り返すため、相手を上回る策を練る必要がある。

 バッテリーを組む坂本は「打者を見ながら考えているし、タイミングを変えてみたりとか。そういう野球脳は高い」と光るセンスを感じたと言う。その上で「自分が持っているものを全部使って、相手を抑えるっていう感じ」と話す。「あんまり物おじしない。それはやっぱり大事」と度胸にも感心した。

 準備力の高さも武器の一つ。マウンドでの落ち着いたメンタルや堂々とした姿はここからきている。伊原は「阪神に入ってから新しいことを始めたりとかはない。これをした方が絶対に調子がいいみたいなのはある」。登板日のルーティンは試合開始45分前にグラウンドに入って15分間、体を動かしてからキャッチボールを開始。試合中はベンチ内でも、あえて立つ時間を長くして体が硬直しないようにする。

 登板日も登板日以外も「絶対走った方がいい」と走ることも日課。体力維持やキレを出すためだけではなく、登板翌日は疲労を取ることを目的にグラウンドをジョギングで周回することもルーティンだ。

 キャッチボールやブルペンで投球を受ける片山ブルペンコーチは「練習は黙々としていて、しっかり自分のやることをやっている」とあまりコーチから口出しすることはないと言う。「もうプロを何年もやっているんかっていうくらいの意識の高さを持っている」と取り組む姿勢に感嘆した。

 ドラフト前から評価されていた高い制球力も健在だ。ここまで15試合で、8四球で死球なし。金村投手コーチは「(持ち味は)制球力と球種の多さ。全部がコントロールできるし、アームさばきもうまい」と絶賛する。決め球だけに頼らずに、持ち球を自在に操り、コースを使い分けることが結果につながっている。

 「チームが勝つために自分が何をできるかが一番」と伊原。6月で6勝に到達すれば、ドラフト制以降の球団新人左腕では江夏豊以来58年ぶりの快挙だ。球団では23年の村上以来となる新人王へ向けてアピールとなる。持ち前の野球脳、準備力、制球力をさらに磨いて進化を続けていく。(デイリースポーツ・和泉 玲香)

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