「阪神６－３中日」（１１日、甲子園球場）

　虎党が奏でる大合唱に思わず白い歯がこぼれる。現役時代、マウンドで何度も聞いた、あと１人、あと１球のコール。阪神・藤川監督は「勝った時はいい気持ちですね。久しぶりに聞いたなと思いながら。ファンが背中を押してくれていたものを久しぶりに聞いて。これが勝つ瞬間かと。ゲーム中でしたけどニヤけちゃいましたね」とほほ笑んだ。

　会心のタクトで甲子園初勝利をつかんだ。先発・村上が２点を先制された直後、打線が難敵・高橋宏に５連打を浴びせて逆転に成功。「打線がつながりを見せてくれた。反発力も出たゲームということで良かった」。四回と五回に小刻みに挙げた追加点も大きかった。

　投手起用もハマった。５回３失点の村上に代えて六回から継投へ。六回以降、及川、桐敷、石井、岩崎の無失点リレー。指揮官は「まだ４月で作っていくところ」と強調しつつ、「及川が今日も素晴らしい投球だった」と手応えを口にした。

　ホームは６試合目、甲子園では３試合目で手にした初勝利。「長い時もあれば短い時もあるし、人生です」と藤川監督。ファンのためにも白星を積み重ねていく。