「阪神春季キャンプ」（８日、宜野座）

　阪神の岡田彰布監督（６６）が８日、第３クールの１１日に行われる１、２軍合同紅白戦で門別啓人投手（１９）と茨木秀俊投手（１９）を先発させる方針を明かした。指揮官は茨木について「（門別の）キャッチボール相手だけではなくなってきてる」と評価を一変。ともに高卒２年目、伸び盛りの同期対決に注目が集まる。

　春季キャンプ初の実戦は高卒２年目の同学年対決で幕を開ける。岡田監督は１１日の紅白戦の先発投手について「門別と茨木かな」と明言した。

　２人は２０２２年度ドラフトの同期。門別は２位、茨木は４位で指名され、タテジマに袖を通した。門別は岡田監督が「（他球団に）隠しときたい」と語る秘蔵っ子で、昨季１軍初登板も果たした期待の左腕。一方で茨木は１軍登板の経験はなく、今春の１軍キャンプに振り分けられた際にも、指揮官は「（門別は）年齢的に一番下になるからな。それやったら２人入れてやれ言うたんや。キャッチボール相手としてな」と語っていた。

　ところが、茨木の評価が急上昇している。この日、茨木はブルペンでカーブなど変化球を交えて６８球を投じた。最後まで残って右腕を振り続け、岡田監督の視線を独り占めした。「今日、茨木良かったで。おんなじ同級生でな、キャッチボール相手でもと思とったけど最初はな。そんな軽い気持ちやったけど、キャッチボール相手だけではなくなってきてるよな、力つけてな。そういうんじゃ全然なくなってしもうたな」と目を細めた。

　虎将の言葉を伝え聞いた茨木は「評価していただいているのはうれしい」と笑みを浮かべ、門別との投げ合いについては「予想はしていた」と笑いを誘いつつも「今できることをしっかり出すだけ。投げるからには負けたくないです」と対抗心をむき出しにした。

　対する門別は「意識していないです。自分のピッチングに集中します」と涼しい顔。今キャンプでは視察した侍ジャパンの井端監督から注目選手として名前を挙げられ、通算２１９勝左腕の山本昌氏も「欠点がない」と語るなど周囲からの賛辞がやむことはない。

　茨木は門別について「話し相手というか、気を使わなくていいので、うれしい存在です」と明かす。宿泊先では階が異なるため、それほど行動を共にしないというが、５日のキャンプ休日には２人で卓球に興じた。結果は門別の勝利だったそうだが「卓球は置いておいて、野球を勝ちます」とリベンジを誓った。登板は２イニングの予定。同期２人が織りなす投手戦から目が離せない。