元阪神 28歳で死去の横田さん 引退試合で見せた『奇跡のバックホーム』19年阪神大逆転CS進出も呼び込んだ「ベストプレー」

 阪神は18日、球団OBの横田慎太郎さんが同日午前5時42分に死去したと発表した。病名は脳腫瘍。28歳だった。

 ◇ ◇

 横田慎太郎さんが28歳の若さで亡くなった。横田さんが引退試合で見せた見る者の心を震わせた『奇跡のバックホーム』。駆けつけていた当時の阪神矢野監督、阪神1軍選手は思いを強くして、その後の大逆転でのCS進出につなげた。

 横田さんの引退試合が鳴尾浜球場で行われたのは2019年9月26日。甲子園での全体練習後、1軍からもほぼ全選手が鳴尾浜に駆け付けた。矢野監督、平田2軍監督、梅野、そしてファン…『奇跡のバックホーム』を目の当たりにし、誰もが泣いていた。

 奇跡が起こったのは八回だった。1点リードの2死二塁の場面から中堅で出場。2016年9月25日の同戦(筑後)以来、1096日ぶりの公式戦出場だった。同点となり、なおも2死二塁。ここで打球が横田さんの守る中堅前へ飛ぶ。

 横田さんが猛チャージをかけ、渾身(こんしん)のバックホーム。二走をノーバウンド返球で刺し、ガッツポーズを披露した。

 「打球が全然きれいに見えなくて、いつもだったら一歩下がっているが、今日に限っては前に出られた。野球の神様が押してくれたということかな」

 脳腫瘍を患った影響でバウンドする打球が二重に見えたが、自然と前へ足が出たことを横田さんは明かし、野球人生の「ベストプレー」と胸を張った。なお、その後にチームは勝ち越して勝利している。

 矢野監督は「あんなバックホーム、なかなかできへん。あの場面であそこに飛んでアウトにして、(チームが)勝ち越して…うん、すごいね」と鼻をすすり、「横田にしっかり見てもらって…俺らも頑張っているという姿を見せていく」と残り試合に向けて気持ちを奮い立たせた。

 梅野が「ああいうプレーを見せてもらって、勇気をもらったし、また頑張ろうって思った」と涙を拭い、当時2軍監督だった平田現1軍ヘッドコーチは「参ったね。今までの野球人生を真面目にやってきたものが出たね。野球の神様はいるんだよ」と話し、目を真っ赤に充血させていた。

 阪神は当時、逆転CS進出へ向けて1敗もできない状況から3連勝し、翌々日からの3戦を残していた。そこから3連勝、土壇場からの6連勝でシーズンを終了。

 大逆転でのCS進出を果たし、矢野監督は「やっぱり気持ちだと思う。横田のことも目の当たりにして。野球やれる幸せっていうかね。それを確認して、みんなの気持ちをつなげた。だから、しんどいけど勝ち切れた」と『奇跡のバックホーム』が奇跡のCS進出を呼んだことを強調した。

 横田さんは引退後、脊髄腫瘍を患い、2度目の闘病生活を送り、退院後の21年5月には著書「奇跡のバックホーム」(幻冬舎出版)を発売。22年には大の阪神ファンで知られる俳優の間宮祥太朗主演でドラマ化されている。

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