阪神・ドラ1森下“プロ初”&甲子園初本塁打 適時二塁打も!大暴れ3打点
「オープン戦、阪神6-0日本ハム」(10日、甲子園球場)
ついに、待望の一発が飛び出した。阪神ドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=が10日、「3番・右翼」で出場し“プロ初”&甲子園初本塁打を放った。東海大相模高3年春のセンバツに出場した際にはアーチをかけられず。苦い思い出が詰まった聖地の景色を、華麗な放物線で塗り替えた。
待ちに待った瞬間が訪れた。森下は白球が左翼フェンスを越えたのを確認すると、思わず右手でガッツポーズ。聖地を包む拍手と歓声を心地よく味わいながら、ゆっくりとダイヤモンドを回った。
三回無死二塁。生田目の初球低め直球を振り抜く。「確信でしたね。打った瞬間(いった)かなと思いました」。相手が講じた内野5人シフトの奇策も、打球速度176キロ、推定124メートル弾の前では無力。浜風が吹く中で左翼への先制2ランと、聖地の利も味方につけた。
ここまでの対外試合では8安打を放つも長打はわずか2本。外野の頭を越える打球は一度も出なかった。“プロ初弾”が飛び出す直前のネクストバッターズサークル内では、スイングをすることなくタイミングを合わせることに注力。岡田監督からは打撃コーチを経由して「ローテーションピッチャーが来るから、今までよりもちょっと(タイミングを)早めに取れ」と指示が出ていた。
そのアドバイスに応える一発回答。四回無死一、二塁では右中間への適時二塁打を放ち、4打数2安打3打点と大暴れ。指揮官は「うまいこと対応しとったな」と目を細めた。
東海大相模3年春に出場したセンバツではベスト4まで勝ち進むも、15打数4安打2打点で本塁打0。昨年10月のドラフト指名直後の会見では「いい思い出が甲子園にない」と顔をゆがめていた。
高校時代から数え、甲子園27打席目でかけた待望のアーチ。「今までで一番か分からないですけど、すごい良かったです」。高校通算57本塁打、東都通算9本塁打を誇るスラッガーの手に、また格別な感触が刻まれた。
「この感触を忘れることなく、またよりパワーアップして甲子園で試合をやっていきたい。より一層気を引き締めていかないといけないというのは、自分の中でも自覚している」。たった一本で満足できる器ではない。幾度も聖地に放物線を描き、底知れぬスラッガーの欲望を満たしていく。