阪神・渡辺は30歳遅咲き苦労人 「諦めなくて良かった」大学時代に立てなかった神宮マウンド

 プロ初勝利を挙げ、チームメートと記念撮影する渡辺(92)=球団広報提供
 憧れの神宮で好投した渡辺=4月24日
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 4月30日・巨人戦(東京ド)でプロ初勝利を挙げた阪神・渡辺雄大投手(30)は昨オフにソフトバンクを戦力外となり、育成契約で阪神に加入。開幕直前の3月22日に支配下登録されると、10試合連続無失点とブルペン陣の貴重な1ピースとなっている。ベンチ入りさえかなわなかった青学大時代の苦悩など、1勝を手にするまでの道のりを語った。

  ◇  ◇

 30歳にして手にした記念の白星だ。2-2の六回に2番手で登板した渡辺。代打・広岡に左前打を許したが、続く大城の送りバントを好フィールディングで二塁封殺。代打・若林、吉川を連続で空振り三振に仕留めると、「よっしゃ」と気迫を見せた。

 「ビジターですけど、たくさん声をかけてもらってうれしかったです」。初めてのお立ち台は敵地だったが、虎党からの温かい応援が喜びを増幅させた。くしくも、試合を締めてウイニングボールを手渡したのは加治屋。同学年でソフトバンクに在籍し、ともに戦力外を経験した。

 「彼もホークスで70試合近く投げて、その後、ファームで苦労している姿も見ていました。また1軍でこうやって投げて、チームの勝ちに貢献できたのはすごくうれしかった」

 遅咲き、苦労人。そう形容されることが多い。4月25日に投稿したインスタグラムのストーリーズが、これまでの葛藤を物語っていた。神宮球場のスタンドでメガホンを持った青学大時代の写真に、こう添えられている。

 「一番苦しくて嫌な思い出の方が多い大学4年間。同級生に10年近く遅れをとったが神宮でプレーできた。嬉しいような惨めなような誇りのような恥ずかしいような」。それでも最後は「諦めなくてよかった!」と締めくくられている。神宮で行われた同23、24日のヤクルト戦に登板。いずれも村上から空振り三振を奪うなどの好救援で信頼度を高めた。

 中越高3年時にはエースとして夏の新潟大会決勝まで進出。その後、スポーツ推薦で青学大に入学したが、苦悩の日々が待っていた。

 「試合に投げられないという4年間だった。ベンチにも入っていないので、何番手と言うのもおこがましいぐらい。甲子園も行けませんでしたけど、それは自分が試合に出て行けなかった。神宮は自分が投げずに、しかも、なかなか(チームが)優勝できないという苦しい4年間でした」

 同学年にはロッテ・東條やオリックス・杉本が、2学年下には同・吉田正がおり、レギュラーとしてプレーしていた。有望な後輩たちが入学してくる中、2年時にはスリークオーターから現在のサイドスローへとフォームを変更。「これでダメならという思いで。失う物もなかったので」と生きる道を探した。

 「年齢とか状況を見て、無理だという人も多くいたんですけど、それでも僕のためにいろいろ時間を使ったりとかして応援してくれた方、指導してくれた方がたくさんいます。そういう人たちの気持ちが、ここまでやる原動力」。諦めずに手にした1勝が、巻き返しを狙うチームに勇気を与えた。

 ◆渡辺雄大(わたなべ・ゆうた)1991年9月19日生まれ、30歳。新潟県出身。185センチ、84キロ。左投げ左打ち。投手。中越から青学大、BC・新潟を経て17年度育成ドラフト6位でソフトバンク入団。20年8月31日に支配下登録。同年9月4日・ロッテ戦(ペイペイドーム)でプロ初登板(救援)。21年10月に戦力外通告を受け、同年12月に阪神と育成契約、22年3月支配下登録。

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