阪神・小野寺 代打満弾!暗闇で輝いた 悔し敗戦も一時逆転「何が何でも食らいつく」
「DeNA7-5阪神」(21日、横浜スタジアム)
雨空を切り裂いた。阪神・小野寺暖外野手(24)が四回1死満塁から、左越えに今季初安打初打点となる1号代打逆転満塁弾。今季敵地初白星を呼ぶ一撃になるはずだったが、2番手・馬場が崩れてまさかの逆転負け。かみ合わない歯車。4連敗でビジター12連敗となり、借金は今季最多を更新する「16」となった。
小野寺のヘルメットが踊るように揺れた。ベンチは虎メダルを贈呈し、頭をたたいて手荒く祝福。ムードメーカーの笑顔がはじけ、降り注ぐ雨を歓喜のシャワーに変えた。
2点ビハインドの四回1死満塁。斎藤の代打で打席に向かうと、2球で追い込まれた直後の直球を思いっきり振り抜いた。勢いよく上がった白球は、左翼スタンドに飛び込む一時逆転となる満塁本塁打。「打席の中で何が何でも食らいついてやろうという気持ちでした」。今季初安打初打点。21年9月30日・広島戦(甲子園)での中越えソロ以来のプロ2号だ。
憧れの人へ、強烈な“恩返し弾”となった。昨年12月12日に地元・奈良で開催された「プロ野球・奈良県人会」にDeNA・三浦監督と参加し、野球少年を指導。「奈良でプロ野球選手ってなったら三浦さん」と慕う地元のスターと同じ時を過ごした。昨季はDeNA戦だけ無安打。三浦監督からは「横浜以外で打ってくれ」とジョークを交えた激励を受けたが、眼前で放物線を描いてみせた。
昨年4月に支配下登録を勝ち取り、1軍で34試合に出場。しかし、打率・179と苦しみ、野手では最多となる5度の降格と昇格を繰り返した。今季は初の開幕1軍を勝ち取ったが結果を残せず、9日に2軍降格。それでも「(最短の)10日で(1軍に)上がることを目標に」と2軍では15打数6安打の打率・400と全4試合で安打を放ち、有言実行で19日に再昇格を果たした。
昇格する際には初めて平田2軍監督から着信が入り、「何が何でもお前は1軍にいないといけない」と背中を押された。「平田監督の思いも、しっかりいい形で報告できるかなと思います」。もうファームに戻るつもりはない。
満塁弾でも白星をつかめない苦しいチーム状況。それでも「次、勝ちにつなげられるような一打を打ちたい」と前を向く。グランドスラムを覚醒のきっかけに、小野寺が打線の起爆剤となる。
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