岡田彰布氏が阪神のV逸要因を探る ポイントは「見極め」来季へ「チームを解体する覚悟で」

あいさつを終えた矢野監督は唇をかみしめながらベンチへ戻る=甲子園(10月26日撮影)
阪神外国人選手の今季成績
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 阪神、オリックスで監督を歴任したデイリースポーツ評論家・岡田彰布氏が、自身の見識を基に球界の話題を深掘りする「岡田辞典」-。285回目は阪神がヤクルトに逆転され、優勝をさらわれた要因はどこにあったのかを分析した。投打ともに首脳陣の見極めはできていたのか?と提言した上で、V奪回を目指す来季に向けてチームを解体して作り直す必要性を説いた。

 ◇ ◇

 阪神は最終的にヤクルトに逆転され、2位という結果でシーズンを終えた。2月のキャンプを見た時点では打つ方は大丈夫。投手陣にやや不安があると見ていたが、最多勝を争う青柳を含め、選手たちは良く頑張ったと思う。野手も含めて精いっぱい、やったのではないだろうか。

 その上で、優勝を逃してしまった原因はどこにあるのか-。一番は首脳陣の選手に対する「見極め」がきちんとできていたかということになる。まず投手陣に関して振り返ると、勝ちパターンで継投していく中、9月29日の広島戦など、勝ち試合で投げていなかった投手をいきなり使って試合を壊すケースが多かった。

 選手の“良い時の感覚”ばかりを考えて起用すると、落とし穴が生じてしまう。終盤にヤクルトがスアレス、田口らをブルペンに回して整備したように、先発は未知数でもリリーフはきちんと選手の力量を見極めて起用してあげなければならない。最終的にヤクルトとは引き分けの差が優勝争いを分けたが、どちらかと言えば勝ちきれなかったという印象が強い。

 そして打撃陣の不振も長引いた。監督時代、打撃コーチには「状態が悪くなる前に指摘してあげる」ことを徹底させていた。練習やゲームでスイングを見ていれば、不調時の入り口には何らかのポイントがある。その時点であればまだ修正を施すという手の打ちようがあるが、今季のように落ちるとこまで落ちてしまうと、復調まで時間がかかる。

 他球団を見てみると20本塁打以上を打った打者はレギュラーとして活躍した。だが今年の阪神はそうならなかった。サンズ、大山、佐藤輝らの不振が長引いた要因も「見極め」という観点に尽きるし、終盤は外国人に偏重し過ぎたことで本来は軸となるべき日本選手までも“失ってしまった”ように映る。

 これは来季に向け、非常に難しい問題を残してしまった。他球団の陣容がそろわない中で交流戦明けに貯金「21」を数えたが、最終的にこの数字を超すことができなかった。開幕から打撃陣はうまく行きすぎた感があり、得点数を見ても想像以上につながった印象がある。長いシーズン、この状態を維持することはできないと言ってきたが、以降の数字を踏まえた上で客観的に見ると、このチームのピークは6月までだったと分析できる。

 交流戦明けは外国人の合流など戦力が整った他球団に苦戦し、終盤にはチームの軸も消えてしまった。だから来季も現状の戦力構成のまま優勝争いができるかと言えば、どうしても疑問符がついてしまう。

 ヤクルト、中日の投手陣は数字を残しており、広島も若手が伸びてきた。トータルで見るとシーズンを戦う中でどこも着実に力を付けてきており、逆に阪神は下降線をたどり、目いっぱいの戦いを強いられた。

 ここからチームを立て直すことはそう簡単ではない。まだポストシーズンを残しており、日本一の可能性も残すが、来季のV奪回を目指すには現状のチームを解体する覚悟で作り直すことが必要になる。そしてそこには首脳陣の“見極め”という要素が、絶対に欠かせない。

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