金本知憲氏が覚悟を決めた桑田撃ち-V確信逆転3ラン 伝統の一戦通算2000試合

 偉大なるOBたちが華麗なプレー、豪快な一打で歴史を積み上げてきた伝統の一戦が、5月15日の対戦で通算2000試合目の節目を迎える。前阪神監督でデイリースポーツ評論家の金本知憲氏(53)が思い出の一戦、心に残るシーンを振り返った。

  ◇  ◇

 18年ぶりの優勝に向け、金本は本能のままバットを振り抜いた。夏のロード明けの甲子園初戦、2003年8月27日の巨人戦での1打席目だ。その年で唯一、チームバッティングを捨てた打席で最高のアーチをかけた。

 「優勝した年ではあの試合の、あの1打席だけです。ああいった状況で、自分のバッティングをしたのは」

 阪神移籍1年目。快調に白星を積み重ねたチームの中で、金本は3番に入りチームバッティングを徹底。右打ちだけでなく、一塁が赤星であれば盗塁を助けるために絶好球を見逃すこともあった。その意識をあえて捨てたことには理由がある。

 ロード前はマジック「29」で2位・中日と18.5ゲーム差だった中、ロードで4勝11敗と負け越し。マジック「17」で2位・巨人と12.5ゲーム差で甲子園に帰ってきた。「ロードも負け越して、巨人との初戦で負けたら3連敗してズルズルいくんじゃないかという雰囲気を感じて」。強い危機感を覚えた。

 「その巨人戦は初回に2点取られて、これは負けるとヤバいなと。だからここはつないで1点を取りにいくよりも、大量点狙いで自分のバッティングで長打狙いでいこうと」

 2点を追った初回無死一、二塁だった。走者を進める意識は捨てた。1-1からの桑田のカーブをとらえた。「シュート系のボールを左中間という狙いで、ちょうどカーブにタイミングがあって。完ぺきでした」。手応え十分の打球は、バックスクリーンへの逆転3ラン。勝利を導いた。

 「あの試合に勝てて、これは優勝できるかなと思えたので」。覚悟を決めたフルスイングでチームを一気に加速させ、9月15日のリーグ優勝につないだ。

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