阪神・近本 黄金期の真意「チーム全体が若い。長い間強い世代続く」
阪神の近本光司外野手(26)がデイリースポーツ読者に向けて、さまざまなテーマをもとに本心を明かす新企画「謳歌」をスタートさせる。開幕を目前に控えてチームの核を担う選手会長が思い描く、今季とは-。キャンプで誓った「黄金期」の意図や今シーズンに懸ける思い、読者への公約を語った。
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3月1日のキャンプ最終日に締めのあいさつを務めた選手会長の近本は「今年から黄金期に入ります」と力強く宣言した。
「黄金期という言葉を引っ張ってきたというよりは、過渡期を引っ張ってきたんですよ。移り変わる時期で、ベテランが抜けて、試合に出ている選手がどんどん若くなってきている。長い期間優勝がない。でも僕は本当に今年優勝できると思っているので。それなら黄金期という言葉が浮かびました」
単なる世代交代ではない。常勝軍団を形成していく決意表明だった。
「黄金期がどう響いたのか分からないですけど、球団全体に何か意識してもらえればと思ったので。今年だけでなく、ずっと優勝できるようなチームにしたいなという思いが込められています。チーム全体が若いので、今、いい状態ができた時に継続しやすいと思うんですよ。入れ替わることも少ないですし。長い間強い世代が続くのではないかと思っています」
プロ3年目。昨季はチーム唯一の全試合に出場し、2年連続の盗塁王にも輝いた。オフに選手会長に就任。26歳の野球選手として、意識することも個人成績からチーム成績へと変わってきた。
「1年目や2年目は自分のことばかりを思っていましたけど、3年目になってチームのためにどういう仕事をすればいいのか。シーズンに入って、その時がきたタイミングでしか分からないこともあると思うので。しっかりチームのためにやろうと思いますね」
盗塁王、得点王、最多安打、首位打者とこれまで個人の数字を口に出してきたが、最も手にしたいタイトルは優勝。そのためには、何が必要なのか-。個人記録を犠牲にしても勝利を優先する考えを持っている。
「個人のタイトルというのもそうですけど、チームが勝つために、優勝するために、チームのタイトルというものを僕はもっと意識しないといけないのかなと思います。シーズンが終わった時に盗塁王を取ったからいいというのではなくて。チームが優勝して盗塁王を取れたらいいですけど。(団体競技の野球は)個人タイトルを取ればいいということではないので。優勝するために、勝つために必要なところで必要なプレーをどんどんしていきたいと思っています」
いよいよ開幕が間近に迫ってきた-。
「正直、早く始まってほしいと思っています」
はやる気持ちを抑えられないシーズンは、26日・ヤクルト戦(神宮)から幕を開ける。
春季キャンプでは、打撃強化を目指してバットの出し方や、足の使い方などに取り組んできた。オープン戦では、打率・324と上々な手応え。その感覚を確かなものとするために、求めているのは公式戦での数字だ。
「状態がいいとか悪いというのではなく、早く結果がほしいという気持ちになっています。今やっていることが、本当に合っていたかどうか。インプットがよかったのかどうかを早く知りたいです。実際にプレーしてみて、もっと伸ばしていけるところもあると思うので。そういうことを早く知りたい。お互いに試し合いのオープン戦は正解ではないと思うので。シーズンに入ってからの空気もあると思うので」
技術的に納得する部分が増えているが、尽きることがない向上心。1番打者として攻撃の流れを呼び込むために、どこまでも探求を続けている。
「まだできている時と、できてない時が結構ある。14日の巨人戦で三回に高橋から放ったレフト前とかは、いい体の使い方をしたなと思います。基本的に逆方向に対しての打ち方がよくなっているなと思います。引っ張った打球よりも今までとは違う打ち方で、できているなと。一方でまだまだ、引っ張った打球は納得していない打球が多いです」
プロ入り後、3度目の開幕戦を迎えるが、過剰な意識はない。
「開幕といっても特に考えていることはない。1年目、2年目もいいダッシュを切れていないので。そういうところでは、今年はちゃんと切っていきたいと思います」
今季は頼もしい後輩が入団してきた。オープン戦で本塁打王となる6発を放ったドラフト1位・佐藤輝(近大)。淡路市出身の近本、西宮市出身のルーキーと地元選手の活躍に注目が集まる。若き主砲が、持てる力を存分に発揮してもらうためにも支えていく。
「テル(佐藤輝)が打ったら、チームも盛り上がりますし。球場全体としても盛り上がるので、それはチームにとってもいい風にもなっています。新しい風も吹いたと思うので、いい波に乗っていけるようにしたいですね。打ちやすい環境作りとかをしていきたい」
地元の阪神に所属するからこそ、得られる力もある。
「僕は淡路島出身で社高校、関学大、大阪ガスとずっと兵庫県にいる。たくさんの人にすぐに応援しに来てもらえるという実感があります。そこはすごくうれしい」
最後に近本は読者に公約した。
「打率、安打、得点、打点、本塁打、盗塁とこれまでの成績を超えるたびに、何かプレゼントを考えていきたいと思います」
猛虎黄金期の序章となる今シーズン。あらゆる部門で自身のキャリアハイを達成し、歓喜の瞬間へと導く。
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