阪神・矢野監督 東日本大震災から10年、決意新たに野球で勇気、元気与える
東日本大震災から10年の節目を迎えた11日、阪神の矢野燿大監督(52)が思いを語った。大学時代を仙台で過ごし、震災3カ月後には気仙沼市で少年野球チームと交流した経験もある指揮官。「挑戦するというのは誰でも共通すること」と今季のチームスローガンを交えながら、チームとして勇気や元気を届けていく覚悟を示した。
甲子園で行われた1軍の全体練習開始前。矢野監督ら首脳陣、選手、スタッフが被災者へ約1分間の黙とうをささげた。外野芝部分に全員で整列。半旗が掲げられたバックスクリーンを向き、静かに祈りをささげた。
未曽有の被害をもたらした東日本大震災。10年がたった今でも矢野監督には忘れられない光景がある。地震発生から3カ月後に仙台へ。気仙沼市の少年野球チームを指導するなど交流を図った。
「悲惨な状況…景色もだけど臭いもね。あそこに行かないと分からない。なんて言葉を掛けていいのか。言葉を失うっていうのは、もしかしたらあれが初めてかもしれない」
東北福祉大出身の指揮官は、大学時代を仙台で過ごした。なじみのある街の景色は一変。それを目の当たりにして相当なショックを受けたという。
野球少年らとの交流で気付かされたこともあった。「こんな時に野球なんてやってええのかなとか思いながら行ったけど。子供たちがその瞬間、笑顔になってたり、震災のことを忘れられる時間にもなっていたと思う」
10年の時が流れたが、抱いた思いに変わりはない。「大きなことはできないかもしれないけど、前を向いていく力には変えられると思う。俺らの野球から、そういうメッセージを届けられるようにしていきたい」と誓う。
今季のチームスローガンは『挑・超・頂 -挑む 超える 頂へ-』だ。「挑戦するというのは誰にでも共通すること。見ていて一歩前に出てみようかなと思ってもらえる、そういうチームでありたい。みんなで前向いてやっていくのが必要なこと」と力を込める。
節目の日に新たにした決意。16年ぶりの頂に挑むチームの姿が、被災地だけでなく、コロナ禍で沈む世の中に勇気を与えると信じている。
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