【神機一転】小宮山慎二「失敗の連続だった」16年間…黒子に徹し恩返しを

 多くの選手が今季限りで阪神のユニホームを脱いだ。第2の人生のスタートに向け、次の進路が決定した者もいれば、未定の者もいる。新しい人生に挑戦する虎戦士の思いを上・下2回にわたってお伝えする「神機一転」。1回目は高卒で16年間、正捕手の座を狙って努力を重ねてきた小宮山慎二捕手(34)です。

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 現役生活を振り返り、うれしかったことを尋ねると小宮山は「プロ初安打の時くらいかな。失敗の連続だったから」と苦笑いを浮かべた。苦い記憶ばかりがよみがえる、そんな16年だった。

 鳥谷や筒井と同期入団の03年度ドラフト5巡目。指名された5人中、高卒は自分だけ。「甲子園も出ていないし、全く自信がなくて、本当に3年で終わるかなと思っていて」。憧れの世界に飛び込んだ喜びを抱くどころか、危機感と常に隣り合わせになっていた。

 1年目の春季キャンプでは、打撃練習で打球が内野を越えなかった。「次の日から(当時の)水谷コーチに『お前、外で打たなくていい』と。室内でずっとバッティング」と“洗礼”を浴びた。

 壁を乗り越えようと、寮生の頃は毎日欠かさずマシンを相手にバットを振った。「あまりにも差があり過ぎるから、毎日室内で打つようにしていた」。ライバルとの差は自身の努力で埋めてきた。

 そのかいもあってか、12年には自己最多の72試合に出場。「試合に行くのに緊張し過ぎて毎試合、吐きそうになる」という1軍ならではの苦しい経験も味わった。能見、岩田、メッセンジャーらとバッテリーを組み「完封した試合が何試合かあって、それはよく覚えている」と捕手としての醍醐味(だいごみ)を懐かしんだ。

 17年に長男が誕生。「子どもに野球をやっている姿を見せたいと思った。あともう一年ぐらいできたら」と唇をかむ。「両親には感謝している。おやじが野球をやる環境を作ってくれた。小学校の時からずっと『野球で頑張りなさい』と言ってくれて」。支えてくれた周囲への感謝は尽きない。来季からはブルペン捕手に転身。黒子に徹し、チームに恩返しする。(向 亮祐)

 ◆小宮山 慎二(こみやま・しんじ)1985年11月26日生まれ、34歳。神奈川県出身。現役時代は右投げ右打ちの捕手。横浜隼人から2003年度ドラフト5巡目で阪神入団。プロ4年目の07年10月3日・ヤクルト戦(神宮)で初出場(代打)。通算成績は149試合、打率・164、1本塁打、8打点。

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