鳥谷 菅野撃ち!後輩へ…虎の未来へつなぐ魂の一打

 4回、菅野(手前)から右前に同点2点適時打を放つ代打・鳥谷
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 「巨人6-5阪神」(15日、東京ドーム)

 何度でも見たいその姿に、ファンも声をからした。届け、届いてくれ-。みんなで名前を呼んだ。ベンチへと退いた“ヒーロー”へと贈る歌。劣勢ムードを振り払う一時は同点となる適時打を放った阪神・鳥谷の名は、何度も敵地に響いた。

 勝負手だった。2点を追う四回。安打と2四球で作った2死満塁の好機、打順は9番・岩貞へと回る。ここで矢野監督も決断した。指名されたのは、背番号「1」。打席へとゆっくり歩み出すと、球場は大歓声に包まれた。マウンドには巨人のエース・菅野。「積極的に振っていこう」。鳥谷は息を静かに吐いた。

 仕留めたのは、その4球目だった。139キロのカットボールを狙う。捉えた打球は一、二塁間を鋭く破り、人工芝を駆け抜けていった。2者が生還し同点。「自分のバッティングができてよかった」。その一振りで雰囲気をも変えた。

 「阪神・鳥谷」としての戦いは、残り9試合。日めくりカレンダーをめくるように、あっという間に日数は一桁になった。後輩たちが今、口をそろえて言う。「トリさんと一日でも長く」。かつて鳥谷が走り込みをしていた“道”は今、北條が走り、木浪が走るようになった。魂は着々と受け継がれていく。

 そして互いを思いやる気持ちは、鳥谷も同じだった。後輩たちから助言を求められると、すぐに身ぶり手ぶりでアドバイスを開始。「ベンチにいたら、それだけ若い選手と話す時間もある。聞いてくれることには、全部答えたいと思っているから」。姿勢、思い、技術…。継承されるもの全てが未来への光だ。

 ベンチが総立ちになった。試合には敗れたが、仲間もファンも歓喜した一打。声援も歓声も、感謝へと変わる。「満塁のチャンスだったので、聞いている余裕はなかったですけど…でも、ありがたいですね」。左翼席から届く歌。“いいぞ、いいぞ、鳥谷”。何度も、何度も響いていた。

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