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鳥谷、今季初打点 CSでも見たい!この勇姿 自力CS復活!鯉と3・5差

 「阪神10-3ヤクルト」(11日、甲子園球場)

 甲子園の虎党が涙した-。八回1死一塁、今季限りでの退団が決まっている阪神・鳥谷敬内野手(38)が代打で登場。左線適時二塁打でプロ16年目となる今季の初打点をマークした。試合は13安打10得点で快勝。3位・広島とのゲーム差を3・5とし、一日で自力CS進出の可能性を復活させた。残り13試合、最後の最後まで戦い抜く。

 試合の大勢は既に決まっていた。5点リードの八回、1死一塁。「代打・鳥谷」がコールされた。空席が目立つスタンドから一斉に、ファンが内野フェンス際まで駆け寄る。警備員の制止する声も届かない。涙を流す女性の姿があった。鳥谷のネーム入りタオルを掲げ、涙する男性の姿もあった。

 「ファンの声援に、応えられて良かった」

 クールな仮面に戻った試合後、それでも一番に感謝を口にする。マウンドに平井。1球ごとに声援に力が増す。カウント2-2から5球目。外のフォークに反応した。大声援に押されるように、白球が左翼線を鋭く伸びる。フェンス際を転々とする白球を見て、一走の梅野は迷わず三塁を蹴った。

 数字は後輩も知っていた。「鳥さんが打ってくれたのでね。何とかかえりたい気持ちでした」。130試合、94打席目の今季初タイムリーだ。16年目にして最遅の打点。それでも、通算2083本目の安打はナインに、何より多くのファンの記憶に刻まれた。8月31日に今季限りでの退団表明後、初の安打が鳥谷敬を愛した人に恩返しの一本となった。

 8月29日。球団から引退勧告を受けた。口を閉ざすはずだった鳥谷が、公表に踏み切ったのはファンの存在だった。30日の巨人戦後、球場を出る車中から応援タオルを掲げる人の姿を見た。「タイガースでユニホームを着てやるというのは今シーズンで最後になる」。過去と違って見えた景色。感謝を伝えたかった。それは苦悩した今年の戦いでもある。

 「8割、9割はベンチで見ている。いつかいい経験だったな、と言えるようにするためには、その時間を大切にするしかないから」

 入団してから、スタメン表にはいつも「鳥谷」の名があった。骨を折っても、筋肉が断裂しても「出ない選択肢がなかった」という日常が、非日常になった1年。目に入る景色が変わった。「人がどう感じて野球をするのか。ずっと出ていた時は、知りたいとも思わなかった。今は勉強。代打が大変だと知れただけでも、大きいよ」。若い選手からも吸収し、時に助言も送る。大山が、糸原が、その言葉に活路を見いだした。

 シーズンは残り13試合。同時に別れのカウントダウンを意味する。「できることをやっていく」。夢乗せて羽ばたけよ-。試合後。季節の移ろいを告げる秋風に揺られ、球場周辺で応援歌が鳴りやまない。奇跡の扉を開く1勝。さあ、君がヒーローだ。まだ終わらない。背番号1は孤高の伝説になる。

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