ドラ1位候補 立命大・辰己“赤星級”一塁到達タイム驚異の3秒71

 今秋ドラフト1位候補の一人、立命大・辰己涼介外野手(4年・社)が同大との1回戦に「3番・中堅」で先発出場した。2本の内野安打で4打数2安打の活躍。二盗、三盗を連続して決めるなど、驚異の脚力で阪神など集まった5球団のスカウトをうならせた。打席から一塁までの到達スピードは3秒71。阪神はOB赤星憲広氏にも匹敵する快足の逸材を、高く評価している。

 周囲の歓声以上に、辰己には喜びがあった。九回、1死二塁。二塁前ボテボテのゴロで内野安打を奪う。到達タイムは脅威の3秒71。「内野安打が僕は一番うれしい。心の中でガッツポーズしてました」。次打者の犠牲フライを導き、完封負けを阻止した1本だ。

 今秋ドラフトで堂々の1位候補。うわさ通りの実力は次の場面でも発揮した。犠牲フライで1点を返すと、2死一塁で三宅の打席。2球目、迷わずスタートを切る。捕手が二塁に投げることができないほど完璧な走塁。さらに3球目には三盗を成功させた。スライディングすら必要ない、楽々セーフだった。

 「雰囲気を変えたかった。最終回は何が起こるか分からない。明日につながると思う」

 3点差の最終回、2死。絶対の自信がなければ、スタートが切れない場面での連続盗塁だ。4年春まで通算11盗塁だったが、今秋だけで早くも5盗塁。「今までは興味がなかった」と言うから、驚きだ。「プロの世界でタイトルを取るには、そこが一番近いかなと思って」。伸びしろはまだまだ無限大だ。

 阪神は大阪桐蔭・根尾昂内野手(3年)を1位指名の最有力候補に挙げる。ただ競合は必至。抽選に外れた場合、辰己は外れ1位候補の一人となる。この日は阪神など5球団が視察。広島の鞘師スカウトも「足と肩はすぐに通用する。来季、開幕から試合に出ても不思議ではない」と賛辞を惜しまない。

 12球団から調査書が届いた。日米大学野球選手権に3年連続で出場。今夏は代表でも主将を任された。初回にも二塁内野安打を奪ったが、この時は3秒78。プロでも4秒を切れば速いと言われる。阪神OB・赤星氏が3秒74だったとされるが、匹敵…超えるレベルの足を持つ。走攻守そろった大学No.1野手の魅力は尽きない。

 2安打でリーグ戦通算117安打。歴代単独3位、中馬秀雄氏が持つ立命大の最多安打記録(115本)を超えた。「4年間、やることはやってきた。緊張するかもしれないですけど、期待して待ちたいですね」。ドラフトは25日。運命の1日を目前に控え、1位候補が静かに吉報を待つ。

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