鳥谷、球団最多安打記録更新 通算2065安打目を記録「ファンのために甲子園で」

 「阪神1-2ヤクルト」(4日、甲子園球場)

 阪神が4連敗を喫し、2年ぶりのBクラスが決まった。敗戦の中、一瞬の輝きを放ったのが球団史を塗り替えるベテランの一打だった。1点を追う五回2死二塁、鳥谷敬内野手(37)が中前へ同点打。藤田平氏(デイリースポーツ評論家)と並んでいた球団最多安打記録を更新する通算2065安打目を記録した。

 歩んできた人生と同じように、白球は真っすぐ二遊間を抜けた。二塁ベース上に立つ鳥谷が、記念パネルを控え目に掲げる。「ファンのために甲子園で」と、クールな男が胸に秘めた約束の一打。トップに立った。並んでいた藤田平氏を抜き去り、2065安打で球団最多記録の更新だ。

 「代打だったので、なんとかつなごうと思って。ヒットになってよかったです」

 節目の記録は五回に生まれた。1点差、2死二塁。青柳の代打で登場した。ヤクルト先発・星の初球。フォークを狙った。ライナー性の打球が遊撃の右を抜ける。「毎日勝ちたい、毎日打ちたい」と話す男。一時同点に追い付く適時打が、偉業に華麗な花を添えた。

 午前6時前に起床。自宅周辺のランニングから始まり、ナイターでも10時前には球場到着。誰もいないグラウンドを黙々と走る。室内で打ち込んだ後、全体練習に向かう。いまや有名になった鳥谷のルーティンだ。豊富な練習量は「スキルアップのため」。そう言い続けてきた男には、もう一つの理由がある。

 「現実を受け入れるために、誰よりも練習をするんだよ」

 親しい後輩にしか明かさなかった真実、矜恃(きょうじ)だ。

 「野球は確率のスポーツ。失敗の方が断然多い。でも、打てなかったら後悔はする。そんな時、これだけやった。誰より練習したと思えたら、結果を受け入れることができる。受け止めて初めて明日また、頑張ろうと切り替えることができる」

 後輩から、後輩に紡がれる虎の血脈。悔しさも、うれしさも汗を流す理由にした。骨が折れてもグラウンドに立つ。不断の努力、人並み外れた練習量が前人未到の記録を支えた。トップに立ち、孤高のレースを走る。積み重ねた2065本と同じように、いまを受け入れるために闘う。ひたむきに、ひたすらに。

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