阪神 執念で5点差跳ね返す 伊藤隼が逆転2点三塁打!夏のロード劇勝締め 

 「巨人8-9阪神」(26日、東京ドーム)

 阪神がド執念を見せつけての逆転勝ち。5点差をひっくり返し、連敗を3で止めた。3-8で迎えた八回、梅野隆太郎捕手(27)の2ランなどで1点差に追い上げ、代打・伊藤隼太外野手(29)の右翼フェンス直撃2点三塁打で逆転した。この回、打者一巡の猛攻で一挙6点。夏のロードを痛快勝利で締めくくり、28日からは本拠地甲子園に戻って上位進出へ巻き返す。

 抜けてくれ-。ただそれだけを願っていた。逆境の中から全員がつなぎ、逆転のチャンスを演出してくれた思いを失うわけにはいかなかった。打球は右翼フェンスを直撃し、三塁を陥れた伊藤隼の目に飛び込んできたのはベンチで喜ぶ仲間たち、そして聞こえてきた敵地を揺るがす大歓声。「実感が湧かなかった」という一打が、崖っぷちの虎に奇跡を呼んだ。

 八回の攻撃が始まる前、5点のビハインドを背負っていた。だが伊藤隼はあきらめていなかった。「代打が出るなら投手の打順(5番)。そういうチャンスで回ってくるというイメージはあった」。静かにその時を待つベンチ裏に届いてきたのは、徐々に大きくなっていく歓声だった。

 梅野がこの日2発目となる8号2ランで反撃ののろしを上げた。2死からでも誰一人あきらめることなく、安打、四球でチャンスをつないだ。そして満塁から俊介の2点適時打で点差は1点、なおも2死一、二塁とイメージした通りの展開に、闘志を奮い立たされないわけがなかった。

 「積極性は自分の持ち味」と代わった池田が投じた初球、真ん中高めに浮いたスライダーを振り抜いた。「結果的にいいところに飛んでくれた」という逆転の2点二塁打。「絶対にチャンスは来るぞと思っていた」という強いハート、そして前向きな姿は、選手生命の危機に陥ったあの日を思い出させる。

 16年の春季キャンプ開始直前、沖縄でウエートトレ中に利き腕でもある右肩を脱臼した。失意の胸中は計り知れず、2軍に合流した。固定装具をつけ、走れない、投げられない、バットも振れない日々。それでも目の力は失わず「きょうも行ってきました!」と頻繁に通ったのが、安芸タイガース球場の近くにある星神社だった。

 実業家の岩崎弥太郎が「吾れ、志を得ずんば、再びこの山に登らず」と江戸末期に立身出世を誓ったとされる場所。絶対にあきらめない、必ずグラウンドに戻って活躍する-。絶望の淵でも前向きな姿勢を失わなかった。故障を乗り越える強い心を育んだからこそ、この一打がある。

 金本監督も「本当に思いきりよく打ってくれた」と称賛を惜しまなかった。長期ロードを5割で終え、28日から本拠地・甲子園で再起を図る猛虎。そこに勢いを生む1勝であることは間違いない。

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