原口、驚異の代打打率・517 29打数15安打12打点 桧山の記録へあと「8」

 「阪神6-3広島」(25日、甲子園球場)

 ここぞの場面でこそ真価が発揮される。恐ろしいまでの成功率は、首位・広島を相手にしても色あせない。阪神・原口文仁捕手がまたもや値千金の代打タイムリー。「自分のスイングができて良い結果になって良かった」。遠慮気味に発した言葉がかえって頼もしさを際立たせた。

 出番は敵に2点差に詰め寄られた直後の六回。「流れで嫌なものを感じていたので、1点でも取れば流れを変えられると」。この回先頭の陽川が右前打を放つなどして1死二塁となると満を持して原口が代打で登場。広島2番手・アドゥワが1ストライクから投じてきた甘め直球を捉えた鋭い打球は左翼へのタイムリーとなった。

 無類の勝負強さは伊達(だて)ではない。これで今季の代打成績は29打数15安打12打点で打率・517。球団の代打安打シーズン記録は08年・桧山進次郎がマークした23。レジェンドの数字まで残り8。さらに、得点圏に限れば12打数9安打12打点で打率・750まで上昇する。

 日々、自分のバットに込められた思いに応えたい一心だ。「(スタメンではない日は)ベンチで声を出すのも仕事なんですが、早い回から(代打の)準備にいかせてもらっていますので」。仲間からの配慮もあり、試合展開をにらみながら、ベンチ裏でバットを振り込む。周りからの気遣いを尊ぶからこそ、代打での好結果につながっている。

 何かをやってくれそうな期待感が猛虎上昇の起爆剤。この日の原口に金本監督も「片岡コーチが何が何でも原口でいくって言うからね(笑)。彼に対する信頼というのはすごい高いですね」と賛辞。重要局面だからこそベンチが選択する「代打・原口」のカード。一振りに懸ける男が真夏の戦いを熱くしていく。

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