植田、盗塁大幅増 その秘密は蛇行矯正

 独自の視点からプレーの深層に迫る「虎目線」-。今回は糸井と並んでチームトップタイの8盗塁をマークする植田海内野手(22)の盗塁技術にスポットを当てます。今年2月の春季キャンプ中、金本知憲監督(50)から二盗の際に蛇行する悪癖を指摘され、矯正したことで成功率、企図数とも大幅に増加。確固たる技術の根拠がスタートを切る勇気、リードを大きく取るなど新たなチャレンジへとつながっている。

 10日の巨人戦、植田が二盗を決めたシーンが東京ドームの天井カメラから映し出された。スタートした瞬間から走路がぶれることなく、一直線に二塁へ向かい、最後は勢いそのままに強いスライディングを見せた。真っすぐ走る-。簡単なようで実は難しい課題をクリアしたことが、大幅な盗塁増へとつながっている。

 きっかけは今年2月の春季キャンプだった。スチール練習を見ていた金本監督が、植田のある問題点を指摘した。「ちょっとクネクネ走ったり、蛇行したり。スライディングも弱い」と語る“蛇行癖”。当時はスタート時にダイヤモンドの外側のラインから切れ込むように二塁へ向かい、スライディング時にはダイヤモンドの内側から外側へ体を戻すように滑り込んでいた。

 蛇行によって走る距離が長くなるだけでなく、スライディング時の勢いも半減していた植田。コンマ何秒を争う世界で繰り広げられる盗塁阻止の攻防においては、わずかなロスも致命的となる。そこでスタート位置をあらかじめほぼダイヤモンド上に設定。走る意識も変えた。

 植田「蛇行しないようにという意識を持って。スライディングを強くするというよりは、ロスなく最短で行けるようにと。自分でも映像で確認していますけど、練習からしっかりやることで、意識を植え付けられているのかなと思います」

 昨季は盗塁企図2で成功1、失敗が1。だが今季は9度の盗塁企図で失敗は1度だけ。成功率・889は、盗塁数上位5傑ではヤクルト・山田に次ぐリーグ2位タイの数字だ。蛇行の矯正以外にも状況に応じてリードの幅を変えるなど、意欲的に新たな可能性を追い求めてチャレンジしている植田。一塁ベースコーチの中村外野守備走塁コーチは背番号62の成長をこう明かす。

 「蛇行の矯正やリードの取り方もあるんですけど、一番は本人の勇気だと思います。赤星も言っていましたけど、盗塁で大事なのは勇気だと。こちらは失敗しても何も言いませんし、思い切ってやってくれたらいいと思っています」

 植田本人も「とにかく思い切ってやるように心がけています」と言う。練習で確かな技術を身に付け、実戦で成功体験を重ねていく。それが“勇気”という2文字になって、思い切ったスタートを切らせてくれる-。若手選手が伸びていく絶好のサイクルを今、植田は見事に体現している。

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