秋山驚弾1号&初10勝!高校通算48本塁打の“伊予ゴジラ”右翼席上段へ2ラン

 「中日4-10阪神」(18日、ナゴヤドーム)

 阪神・秋山拓巳投手(26)が文句なしのヒーローや!投げては7回2失点の好投で初の2桁となる10勝目を挙げた。打っても六回に右翼席上段にプロ1号を放り込み、愛媛・西条高時代に「伊予ゴジラ」と呼ばれた豪打を見せつけた。チームは4発13安打10得点で快勝。5位・中日相手に取りこぼすわけにはいかない。きょう19日も敵地で竜を叩く。

 マウンドから帽子を取って、感謝の思いを示した。鳴りやまぬ左翼席…いや、球場全体からのコール。初めての体験に、ぎこちなく頭を下げた。自らの復帰戦で、初の2桁勝利を祝うプロ初本塁打。投げては7回5安打2失点。主役は秋山だ。

 4点リードで迎えた六回、2死二塁で打席に立った。金本監督から「ランナーをかえしてこい!!」と激励され初球、内寄りの144キロを狙った。ライナー性の打球は飛距離十分。推定110メートルの特大弾で、右翼席上段に突き刺した。愛媛・西条では1年秋からエースを務め、高校通算48本塁打のスラッガー。“伊予ゴジラ”が魅せた。

 プロ8年、通算87打席目で初本塁打。照れ笑いする。「たまたまですけど。気持ちよかったです」。一方、「不安だった」のはマウンド。5日のヤクルト戦で右太ももの張りを訴え、7日に今季初めて出場選手登録を抹消。ほぼ最短の11日間で復帰を迎えた一戦だ。

 「足場が滑る感じがして慎重になったんですが。なんとかいいスタートが切れました」

 マウンドの土は軟らかく、相手投手の掘りも深かった。普段より約20センチ、プレートの一塁側を踏んでの投球。結果的に、課題の左打者封じに奏功した。初回、先頭・京田に内を攻め、外角フォークで空振り三振に。荒木を挟んで、大島も内角直球で三ゴロに仕留めた。三回まで無安打投球。力みが消え、波に乗った。

 アクシデントは七回だ。ゲレーロに左翼線を破られると、香田投手コーチが飛び出してきた。投球時に爪で皮膚を裂き、右手親指を裂傷。ベンチで治療を受けた。だが、続投を志願。藤井の右翼線二塁打で1点を失ったが高橋、代打・松井佑を打ち取った。血染めの105球。先発で7回を投げ抜いたのは、10日に負傷降板したメッセンジャー以来だ。

 「(指は)大丈夫です。うれしい気持ちもありますけど、ここからが勝負。上に行くにはこれからも、どんどん勝ち続けたいです」

 初の2桁勝利。先発として一つの勲章を手にした。だが「遅れを取り戻したい」と前を向く。プロに入って8年。欲しかったのはチームからの信頼だ。熱い思いは胸に秘めた。「順位争いで大事な試合が増えてくる。使いづらい投手と思われたくない」。求めるのは窮地を救う1勝。代役は俺だ。エースへの階段は一気に駆け上がる。

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