鳥谷、ミスター超え単独16位の970四球 激走三塁打も
「阪神5-6DeNA」(26日、甲子園球場)
必死の思いが詰まっていた。阪神・鳥谷の第2打席。ウィーランドの直球を捉え、相手のミスを見逃さなかった。次の塁を果敢に狙い、一気に陥れる。その瞬間、虎党からの惜しみない歓声と拍手が甲子園中に響き渡った。
2試合連続で完封負けを喫するわけにはいかない。その執念を見せたのは五回。先頭の鳥谷がフルカウントからの7球目を力強くはじき返した。左翼線へ運ぶと、筒香が打球処理にもたつく間に、二塁ベースを勢いよく蹴った。決死のスライディングで三塁打をもぎ取り、チャンスメーク。続く大和の二ゴロの間に生還。チームにとって16イニングぶりの1点を刻んだ。
虎党の脳裏には、前夜の悪夢が呼び起こされる。この日も四回まで、わずか1安打に抑え込まれ、打線は沈黙。そんな状況を打破する一打となった。
そして、また一つ勲章を手に入れたのは七回の第3打席だった。1死二塁の場面でストレートの四球を選び出塁。これで通算970個目の四球。並んでいた長嶋茂雄(巨人)を上回り、単独16位となった。
それでも…。自身に快音が響いても、ミスターの記録を超えても笑顔はない。「また明日がんばります」。首位を追いかける立場から、3位に転落した。正念場を迎えた今だからこそ、静かに次戦を見据えた。