岡崎の献身的リードが5・27青柳の今季初勝利呼んだ コースに構えず真ん中に

 独自の視点からプレーの裏側に迫る「虎目線」-。27日・DeNA戦で制球に苦しみながらも、6回2失点で今季初勝利をマークした阪神・青柳。その背景には女房役・岡崎太一捕手(34)の献身的なリードがあった。メリハリをつけた構え方、そして1球、1球、愚直に相手の目を見て励まし続けた背番号57。配球だけに限らず、そのたたずまいで右腕を引っ張った。

 立ち上がりから青柳のボールは暴れていた。初回、外角を狙った直球が右打者・ロペスの膝裏を通過するなど、制御が利かなかった。2四球で1死一、二塁とピンチを広げた場面で、岡崎はマウンドへ駆け寄った。そして一言、こう伝えた。

 岡崎「前から言ってはいたんですが、背中を通すボールもあったので、『真ん中にどんどん来てくれ』と。コースで勝負するよりも(ストライク)ゾーンで勝負する方がいいかなと思ったので」

 続く筒香の打席から、岡崎はミットを構える位置を変えた。ホームプレートの真ん中に体を置き、ギリギリのコースに構えることを控えた。青柳の持ち味は制球力や投球術ではなく、打者が嫌がるほどの球威とクセ球。そこを最大限に生かすために、カウントに余裕がある時以外は、ほぼ真ん中に構えた。

 さらに青柳の心から少しでも不安を取り除くため、1球、1球、愚直に右腕の目を見てうなずいた。いいボールが来ていることを、マスク越しに訴え続けた。その理由を岡崎はこう明かす。

 岡崎「いいよ、いいよとね。マイナスなことを言うよりかは、そういう形で言った方が青柳は腕が振れる。逆に聡文(高橋)には正直にダメと言ったりしますけど。あいつの場合は、いいことを言った方がいい」

 投手の性格、心理を熟知し、懸命に右腕を引っ張った岡崎。五回まで毎回、得点圏に走者を背負う状況でキャンベルの失策が引き金となった2失点にまとめた。ボールが暴れる中、飛びついてキャッチングしたシーンも何度かあった。それでも後ろにそらさなかったのは「あれで後ろにやってしまったら、腕が振れなくなる」という思いからだ。

 今季初勝利を手にした青柳は、岡崎とのバッテリーをこう振り返る。

 青柳「すごく分かりやすかったです。いいボールはいいと言ってもらえるので。自分で投げた感じは悪いボールでも、捕手から見れば良かったボールもある。構えもしっかりジェスチャーでやってもらえると、ゾーンで攻めるのか、コースを間違えないようにすればいいのか分かるので」

 2軍生活が続いていた数年前、岡崎は一度だけミットの色を赤に変えたことがあった。それも「投手から見れば赤の方が目立って投げやすいかなと思って」と明かしていた。愚直に投手のことを考え、投手のためにリードした岡崎。捕手としての信念が、苦しんでいた2年目の右腕を今季初勝利へと導いた。

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