能見、祝1500投球回 今季最長6回1/3V呼ぶ好投

 「阪神2-1中日」(17日、甲子園球場)

 球場は大きな拍手で、降板する阪神・能見を迎えた。チームの勝利に試合後は笑みもあった。6回1/3を5安打1失点。ピンチでマウンドを譲った結果に、ベテランとしての悔しさが残る。「難しいね」。だが、息詰まる気迫の投手戦が勝利を呼んだ。

 七回だ。ここまで2安打の完封ペースが突如崩れた。先頭の京田。二塁前に打球が高く跳ねた。完全に打ち取った打球だったが、これが不運にも内野安打に。続く大島には外のスライダーを右前打された。さらに能見の暴投が絡んで無死二、三塁とピンチを広げた。

 ここでビシエドだ。内角への直球勝負で見逃し三振を奪った。だが、続く平田にカウント2-2から6球目。外角低めのフォークを中前に運ばれた。見送ればボールだったが、しぶとく食らいつかれた。痛恨の1球。天を仰ぎ、同点を許した所で無念の降板となった。「そういうもんじゃない、野球ってね…」。突如、暗転した投球に悔しさがにじんだ。

 だが、リズムは勝利を呼んだ。初回、先頭の荒木から内角低めの直球で見逃し三振を奪った。京田を一ゴロに抑え、大島にも直球勝負を挑み、外角高めで遊ゴロに仕留めた。「きょうは能見でしょ」。金本監督も「テンポも制球も直球の走りも良かった。5、6年前の能見に戻った」と絶賛の79球だった。

 五回、平田を左飛に斬って、史上176人目となる通算1500投球回に到達。プロ13年目での勲章に、能見は「長年、やってるんでね」と控え目に笑った。今季2勝目はならなかったが、6回1/3は今季最長。熱くなる6、7月戦線に向けて、ベテランが大きなカギを握る。

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