4番・福留の走塁意識 阪神の野球を変える リード&偽装スタートで

 開幕戦で阪神・福留孝介外野手(39)が一塁塁上で見せた、投手を揺さぶる動きをフォーカスする。大量リードの展開でも、やるべきことを忠実に実行し、追加点へとつなげた主将。走塁意識の高い4番が“お手本”を見せることで、今後の戦い方が大きく変わる可能性を秘めている。

 じわりと一歩ずつ、リードを広げる。それでも反応がなければ偽装スタートを切る。マツダスタジアムでの開幕戦。相手ピッチャーは左腕の飯田。一塁走者の福留は、打席以外から投手にプレッシャーをかけ続けていた。

 福留「ただやってるだけだよ。普段は走らないから。でも少しでも気持ちよく投げさせないようにするためにね」

 場面は六回、阪神はすでにリードを6点へと広げていた。先発のジョンソンをKOし、完全にワンサイドゲームへと持ち込んでいた。1死から右前打で出塁した福留は、左腕の飯田に対し冒頭の動きを見せる。特に経験の少ない左投手は一塁走者の動きやリードの大きさが見えるだけに、心が乱れやすい。

 原口はカウント2-2から失投気味に浮いた直球を左前打。鳥谷、梅野の連続四球で福留はホームへ生還した。その後の試合展開を見れば、この1点が大きな意味を持つ。メッセンジャーが広島打線につかまり、6点を奪われた。中盤の中押し点がなければ1点差。相手の戦術も変わっていたはずだ。

 中村外野守備走塁コーチ「去年からあれくらい大きなリードを取っていた。投手によって自分で考えてね。大きくリードを取ってくれれば、相手にもプレッシャーがかかるし、スタートも切ってくれる。ああやってくれれば、若手のいいお手本にもなるし。正直、メリットしかないですよ」

 大量リードにも緩めることなく、どん欲な姿勢で相手を追い詰めた。しかも福留の打順は4番。まず打つことを求められている立場でも、後続のことを考えて細かいプレーを怠らない。

 他球団の外国人選手や打つだけの4番打者は、走塁への意識が低く少ししかリードを取らない選手も多い。大量点を奪い、ワンサイドの展開へ持ち込んだ後であればなおさらだ。チームを引っ張る主将が見せた、徹底的に勝負にこだわる姿勢、そして走塁に対する意識の高さ-。首脳陣の信頼も絶大だ。

 高代ヘッドコーチ「あれを4番がやってくれるというのが大きいよね。本当はみんなにやってもらいたいけど」

 好投手を攻略するのは打席だけではない。塁上から、ベンチから、考え得るだけでもさまざまな手段がある。開幕戦で見せた、4番の献身的な姿勢-。これがチーム全体、特に若手へ波及していけば、“阪神の野球”は大きく変わってくる。

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