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阪神・藤井が引退…“男前”独占手記

8回、マウンドへ向かう福原を送り出す藤井(撮影・棚橋慶太)
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 さようなら、男前-。阪神・藤井彰人捕手(39)が今季限りで現役を引退することが12日、分かった。近日中に引退会見を開く。身長170センチの小柄な体格で、近鉄、楽天、阪神と17年間のプロ人生をまっとうした男がデイリースポーツに独占手記を寄せた。チームメート、ファン、仲間、恩師、両親…そして何よりも、苦楽を共にしてきた妻・陽子さん(42)、長女・綾乃さん(12)へ贈る「ラブレター」を引退のあいさつに代える。

 阪神ファンの皆さん、私、藤井彰人は今季限りでユニホームを脱ぐことを決意しました。デイリースポーツの紙面をお借りして、ここに「引退」を報告させていただきます。

 先月末、阪神球団の方と話し合い、体力的にはまだもう少し頑張れるかも…とは思いましたが、家族とも相談したうえで、FAで誘っていただいたタイガースで野球人生を終えることにしました。

 17年間の現役生活を振り返ると、正直、悔いはあります。やはりそれは、一度もビールかけを味わえなかったこと…。近鉄時代の2001年、チームはリーグ優勝したのですが、この年の僕はケガでシーズンの大半、戦列を離れていて、ヤクルトに敗れた日本シリーズには出場できたのですが、ペナント制覇の歓喜の輪に入ることはできませんでした。

 今年は、何が何でも優勝したかった。開幕前から自分の野球人生がもう長くないことは分かっていましたし、これが最後のチャンスになるかもしれないと感じていましたから。

 チームが首位に立ち優勝争いの真っ最中、こんなときこそベテランがひとつにならなあかんと思い、8月終盤の広島遠征で自然と気持ちが動きました。外様で、オッサンの僕が偉そうに言うことではなかったのかもしれませんが、福原、福留、鶴岡、鳥谷、狩野を食事に誘って、6人でもつ鍋をつつきながら、皆に話しました。「こんなチャンスはない。今年、絶対に勝とうぜ」と。キャプテンの鳥谷には「トリがもっと熱いものを出せば、みんな、絶対についてくる。WBCのときのように体中で気迫を表したらどうなん?遠慮せんと、阪神でも出せばええやないか」と。実は、この時に限らず、しょっちゅうトリとはそんな話をしていました。彼からは「しつこいオッサンやなあ」と思われていたかもしれませんが(笑)、僕の本音だったんで、とことん言わせてもらいました。

 引退することをチーム内で真っ先に伝えたのは、同級生の福原と、鳥谷です。9月28日の巨人戦の試合中、トリに伝えると「そうなんですか…。それなら、なおさら、今年勝ちたかったです…」と言ってくれました。僕は「来年、頑張ってくれな」と言い、思わずこみあげてしまいました。

 新井貴浩にも電話しました。「まだまだ、できるだろう」と励まされましたが、もう決めたからと言うと、残念がっていました。「セレモニーはやらんのか?絶対にしてもらえよ」と、最後まであいつらしい気遣いをしてくれましたが、僕は、最終戦が終わるまで公表したくない旨を伝え、外様で5年間しか阪神にいなかった…まして、大した貢献もできへんかったのに、そんなたいそうなことしてもらわれへん!と伝えると納得して「終わったら、また行こうな」と、食事の約束をしました。

 プロで一番思い出深いシーズンは、2013年です。112試合に出場し、成績もキャリアハイで、初めてオールスターにも出場させてもらいました。楽天時代の08年に岩隈と最優秀バッテリー賞をいただき、それ以来、新聞などで「岩隈の恋人」みたいな取り上げ方をしてもらいました。もちろん、賞はうれしかったのですが、その年の出場は90試合。プロは試合に出てナンボの世界です。僕にとって、やはり2年前が特別なシーズンでした。

 球団と話をしたとき、わざわざホテルまでついてきてくれていた嫁さんに「引退」を伝えると、ガラでもないのですが、涙があふれてきました。嫁さんの顔を見たら、もうダメで、その場でめちゃくちゃ泣いてしまって…。嫁さんは「ご苦労さまでした」と言って、一緒に泣いてくれました。

 娘の綾乃にもその日の夜に伝えました。パパ、今年で野球やめるわ-。「あ、そうなんや」と言ってその場では笑っていたのですが、そのあと、洗面所でワンワン泣いていたと、後で嫁さんから聞きました。娘は藤井彰人の1番のファンでしたから、小学6年生なりに、色んな思いがあったんだと思います。

 僕にとっての引退試合は9月29日のDeNA戦(甲子園)でした。家族、親戚みんなで見に来てくれていました。試合の日の朝、娘から手紙をもらいました。「パパ、17年間、ありがとう」って。今思い出しても、やばい…です。

 打席からスタンドの娘をじっと見ていました。最後はオヤジのええとこ見せなあかん。最終打席になった七回、ヒットを打つことができました。野球人生でこんなに喜んだことはないくらい、めちゃめちゃうれしくて…。代走を送られたときに、ああ、終わったなと。家族も喜んでくれて、いい引退試合をできたと思っています。

 近大時代、巨人に入団した二岡を目的に見に来たスカウトの方から「君は小さいからプロは無理だな」と面と向かって言われました。見てろよ…。そんな負けん気でプロの道を目指し、ここまでやってこれました。お世話になった方々には感謝の気持ちでいっぱいです。最後にプロを目指す野球少年、特に小柄な子供たちにひと言、言わせてください。このおっちゃん、見てみ。君たちも絶対、夢をかなえられるから。

(阪神タイガース捕手・藤井彰人)

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