上本 西岡に負けん!開幕1番二塁宣言

 阪神・上本博紀内野手(28)が10日、デイリースポーツ制定の「猛虎感動大賞・奨励賞」を受賞。神戸市内のミント神戸で表彰された選手会長の口から来季の「開幕スタメン宣言」が飛び出した。5日の契約更改の会見では全試合フルイニング出場を目標に掲げた。西岡らとの激しいポジション争いが繰り広げられるが、敵は自分自身。恐怖心に打ち勝ち、まずはレギュラーの3年死守を誓った。

 上本は不意をつかれたように、笑った。「え?これ、どうしましょうか…」。神戸三宮の夜景を見渡す表彰会場に集まった観客は限定60人。閉会間際、ファンとの掛け合いで核心をつく質問が飛んできた。「上本選手が監督なら、来年の開幕スタメンはどうなりますか?」。寡黙な選手会長はタジタジだったが、胸を張って答えた。

 「1番、セカンド、上本。以上です」

 公開取材を担当した虎番記者がファンとの掛け合いの前に引き出せなかった「開幕スタメン宣言」に会場は拍手喝采。2番から9番の指名は勘弁を願ったが、和やかなムードに乗せられた上本流のリップサービス、そして何が何でもと見据える本心でもあった。

 「今年1年試合に出たからといって、今までと気持ちが変わることはない。野球選手である以上、試合に出て結果を残すことが一番の目標だと思います」

 今月5日、西岡が契約更改の会見で「二遊間にこだわる」と発言した。つまり、上本らとのポジション争いを宣言した格好だ。来春キャンプにはゴングが鳴るが、上本の胸中に渦巻くのは「自分VS自分」オンリー。「怖さ」との葛藤だという。

 「正直にいえば、シーズンが始まる前は色んな恐怖感でいっぱい。そういうものと戦いながらキャンプインを迎えて、また気がついたら来年が終わっていると思うので、とにかく今。今をしっかりやっていきたい」

 今季は131試合の出場で自身初の規定打席に到達した。打率・276、7本塁打、38打点、20盗塁。開幕カードで負傷した西岡の穴を埋め、余りある奮闘を見せた。数字以上の貢献度、ファンに感動を与えたいくつもシーンをたたえ、賞を贈られたが、本人はこれっぽっちも満足していない。既に来季の目標を全試合フルイニング出場に定め、日々、体力強化に励んでいる。

 「レギュラーの年数は目標として上がないものだけれど、まずは3年を一つの目安にしたい」。石の上にも…ことわざを出すまでもなく、来年も再来年も、その先もずっと試合に出続けたい。上本の野望に終着点はない。

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