4番ゴメスで9月反攻や!打点王タイ弾

 「阪神2‐4ヤクルト」(8月31日、甲子園)

 夏休み最後の日。こどもたちへの唯一のプレゼントは、阪神マウロ・ゴメス内野手(30)の一発だった。4点ビハインドの七回に22号ソロを放ち、91打点でリーグトップのエルドレッド(広島)に並んだ。チームは3カード連続負け越しとなったが、首位巨人も敗れて2・5ゲーム差のままだ。反攻の9月へ、頼れる助っ人が猛虎をけん引する。

 4番の一撃が空気を変えた。昨季終盤のような、よどんだ雰囲気が漂う聖地を変えた。3カード連続の負け越しで8月を終えた和田阪神。だがセの打点王に並んだ主砲の一撃が、チームの流れを変えられることを示せたのは光明だ。

 場面は七回だった。1死走者無しで迎えた第3打席。初球、高めに浮いたカットボールを豪快なフルスイングで捉えた。確かな手応えを両手に感じたゴメスは、ゆっくりと走りながら左翼席に飛び込む白球を見つめた。

 小川の快投に一矢報いる22号ソロに「良い投球をされていた中でも、あの打席は集中して入れた」とゴメス。得点にはつながらなかったが、この一撃で試合の流れは変わった。後続がライアンを攻め立て、初めて得点圏へ走者を進めた。

 結局、代打攻勢は実らなかったものの際だった4番の存在感‐。これで広島・エルドレッドに並び、セの打点王レースでトップに並んだ。さらに虎の歴代助っ人でも91打点は、来日1年目のマートンに並ぶ歴代2位の記録。トップのブリーデンまであと1と迫る助っ人は打点王よりも「マートンの記録に並べたことはとても光栄です」と言いきる。

 昨季、アメリカ3Aでプレーしていたゴメスを見た虎スカウトのリポートには“フリースインガー”と記されていた。長打力は魅力である反面、何でも振ってしまう粗さと三振の多さが目立った。

 それを変えたのがマートンと、オマリー打撃コーチ補佐。配球面だけでなく、ビジターでは打撃練習前にブルペンに3人でこもってお互いのスイングを指摘し合う。3試合以上無安打のスランプが無く、勝負強さを発揮できる現状は心強い“先輩”の影響が大きい。

 「打点を稼ぐのが自分の仕事。まだ試合数もあるので、もっと上積みできると思う」と力を込めたゴメス。ここ2試合、走者を置いた状況で主砲が打席を消化できていない。「何とかクリーンアップの前に走者を出す。それがウチの形」と関川打撃コーチ。勝負の9月、ゴメスがどれだけ打点を上積みできるかに虎の命運はかかっている。

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